第34話 結婚記念日 その10

「さーて、次はどんなアトラクションに乗る?」

「んー、そろそろお昼時だし先にお昼ご飯食べない? 僕お腹空いちゃってさ……」

「言われてみればそうね、私もお腹減ってきちゃった。アトラクションはお昼ご飯食べてからにしましょう」

「うん、それじゃあ良さそうなお店探そっか」

「そうねロッゾ、園内マップって出してくれない?」

「ちょっと待ってね…………はい、どうぞ」


クラリスに園内マップを渡すと、クラリスは真剣な眼差しで園内マップを睨み付ける。


「んー、パスタも捨てがたいけどやっぱりハンバーグ? でも午後に乗るアトラクションの事も考えると軽いハンバーガーとかが無難なのかぁ……?」

「ハハハ、悩むねクラリス」

「ロッゾはどんなのが食べたい?」

「そうだなぁ、午後もハードなアトラクションに乗るなら軽めの方がいいんじゃないかな? お腹空いたら売店で何か買って食い足してけば良いし」

「そうね、それが良さそうね。それじゃあハンバーガー屋に向かいましょうか」

「うん」


クラリスとハンバーガー屋目指し、2人で手を繋ぎならがら歩き出す。クラリスは早く子供が欲しいみたいだし、このまま回数を重ねていけば遅からず子供は出来るだろう。そうしたらこうやって二人きりで歩く事も少なくなってくるんだろうなぁ……。子供が欲しくない訳じゃない。僕だって欲しいし、クラリスもそれを望んでる。新たに子供が加わった生活なんて絶対楽しいだろうし、世界がガラッと変わるだろう。だからこそ、世界が変わる前の二人きりの時間が少なくなっていくのはちょっと寂しいかな……。


「どうしたのロッゾ、もしかしてさっきので気分悪くなっちゃった?」

「全然そんな事ないよ、ちょっと考え事してただけだから安心して」

「そう? ならいいけど……」

「心配しないでよ? ホントに大丈夫だから」


僕は苦笑いしながらクラリスの方を向く。クラリスにじぃーっと目を見つめられるが、しばらくすると納得したのか再び前を向いて歩き出す。


「あ、お店見えてきたわよ!」


そう言って無邪気にお店を指すクラリス。

お店をからはとても美味しそうな匂いが漂ってきた。

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