第33話 結婚記念日 その9
少し立ち話をした後、クラリスに手を引かれて僕達はジェットコースターのある場所まで2分程歩いた。ジェットコースターはさすがにコーヒーカップよりは混んでいたが、コーヒーカップ同様そこまで待たされることはないだろう。
数分するとジェットコースターの登場口が見え、僕の予想通り比較的にすんなりと乗ることができた。
「お手元にある安全ベルトをしっかりと締めて、係員が安全レバーを下げるまでお手を上にあげてお待ちください」
そんなアナウンスが入り、僕とクラリスは手元にあった安全ベルトをしっかりと着用する。
「なんか緊張して来たな……」
「そう? 私はワクワクして来たんだけど」
「ホントウチのお嫁さんはたくましいなぁ……」
「それでは皆さん、いってらっしゃーい‼︎」
係員の掛け声と共に、ジェットコースターがゆっくりと動き出す。
坂を登り、だんだんと高度が上がるに連れて僕の緊張も高まっていく。しばらくすると頂上まで到達しそのまま一気に降下する。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…………って、あれ? 思ってたより遅くない?」
「だから言ったでしょロッゾ? 私のワイバーンの方が早いって」
「確かに言ってたけど、まさかこんなにも違うなんてね……」
ジェットコースターも速いには速いのだが、何分クラリスの乗っていたワイバーンと比べると結構物足りない感が否めない。
そのまま微妙な速度でジェットコースターは進んでいき、途中できりもみ状態になるコースも以前と比べて全然怖くない。
これからはホントにシートベルト的なのを付けてもらお……。冗談抜きで死んじゃう……。
「どう? 思ってたより楽しいでしょロッゾ?」
「うん、結構楽しいねこれ。このぐらいなら全然平気だよ」
「これも全て私のワイバーンのお陰ね」
「そうだね、これからは定期的にワイバーンに乗せてもらおうかな。もちろんシートベルト有りで」
「そうね、ついでに速さのランクも1段階あげとくわね」
「えぇ、アレよりも速くすんの!? それはちょっと厳しいかなぁ……なんて」
「何事も慣れよロッゾ。そんなんじゃ子供が出来た時に『パパよりママの方がカッコイイ!!』みたいな事言われちゃうわよ?」
「それは困るなぁ……」
「でしょ? だったら今のうちに慣れとかなきゃね」
「……うん、そうだね。頑張ってみるよ」
そんな雑談を交わしていると、ジェットコースターは最初の地点に着き安全レバーが外されてから下車を促される。
さて、次はどんなアトラクションに乗ろうかな。
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