宮田秩早

　得体の知れない侵略生物に攻撃されている地球を含む星系、主人公は「竜の鱗が移植可能な体質」だったことから、その侵略生物と戦うために軍人となって宇宙に飛び立っていこうとしている。 　…続きを読む

　「現場」を押さえられて頭が真っ白になるのは誰しもあることとはいえ……ほかに言いようがあったのでは？ 　親戚の子へのプレゼント用とかさ！ 　とはいえ、綸言汗のごとし、言ってしまっ…続きを読む

　幸と不幸を判断するのは誰なのだろう？ 　「俺」か？ 　他人か？ 　それとも…… 　読者はどう読むだろうか？ 　私は彼は「運がいいのかもしれない」と思う。 　ただし、彼を守護する…続きを読む

　青春小説である。 　いや、筋肉の話ではあるのだ。 　けれども痛いほどに前を目指す意思、勝てないとわかっていながらもともにフィールドを駆け抜けたいと思う意思を表現するこの作品は、眩…続きを読む

それがどうした！ 登りたいだろ？　筋肉！ いや、まさかまさかと思うじゃないですか。 たとえ序盤に「踏みしめる足元はふかふかとしてとらえがたく」と書いてあって、「や、山登りで結構な難…続きを読む

　異世界転生？　起きたものは仕様がないな。 　婚約破棄？　まあ、お互い趣味が合わなければ無理はしない方が良い。 　破滅フラグ？　破滅……破滅は確かに面倒だ。さあ、なんとかしよう。 …続きを読む

　主人公は偏屈な文字マニアである。マニアが昂じてあらゆる文字を読み解き、書き、そのたぐいまれな能力をもって読み解いた文字の持つ呪力を相殺し、（ときどき）人を救う。 　けれども、彼の…続きを読む

　本作の前作『暁天の双星』（※）を拝読したとき、私は「歴史はだれのものか？」という問いを立てた。 （※）https://kakuyomu.jp/works/117735405488…続きを読む

　彼女はそこにいる。 　ただ、彼女自身、自分が「待っている」のか、「立ち止まっている」のかが分からない。それは誰だって、いつだって、自分自身ではよく分からないものだ。 　そう、多く…続きを読む

　登場人物たちは、第二次世界大戦期、身分があったり、運が良かったり、技能を持っていたりして、どちらかといえば「ましに」生き延びられた人々だと言えるかもしれない。 　けれどもそんな彼…続きを読む

宇宙人が地球でホームステイしている近未来。 主人公は宇宙人をひとり、自宅に受け入れる。 しかし、主人公はその姿に動揺を隠せない。 人間の姿に擬態していると思われるその宇宙人は、数年…続きを読む

北の国から知人宅にホームステイにやってきた双子の物語 ふたりは「見えて」しまう体質で、おかげでやはり、日本でも「見て」しまう。 いろんなものをやり過ごしていたものの、やり過ごしき…続きを読む

　個性が、対人関係の障害になるときがある。 　過去の経験が、人を臆病にする。 　性格的なもので、それ自体、矯正されるものでも非難されるものでもないけれども、あきらかにその性格のせい…続きを読む

自分の機嫌は自分で取るのが大人のたしなみ……みたいなことがさも「常識」みたいに語られてますけど、それって難易度高いですよね？実際問題として。 仕事のことでイラッときたり、青ざめたり…続きを読む

幽霊はどうして幽霊になるんだろうか。 未練を残したから？ その場所に縛り付けられるような何かがあったから？ なんにもない（はず）の幽霊に、ほとんど交通事故に近いノリで憑かれてしま…続きを読む

一篇140字の物語集。 真夏の日々、空を見上げたり、黄昏の薄闇を覗いたり。 海月のことだったり、月のことだったり。 たぶん、みんな知ってるんだけれど、ここに書いてあるのを読むまでは…続きを読む

この作品の主人公である椿さんはとても難しい。 彼は『「である」ことと「する」ことのあいだで苦悩する人』なのだ。 彼は格式とか血筋とか跡継ぎとか……生まれ持って与えられた「である…続きを読む

ちからを持っていれば、なにかを変えられるかもしれない。 誰しも夢想することがあるのではないだろうか？ けれどもそんな力（ギフト）を、神から授かったとして、それで世界が救えるのだろう…続きを読む

　選んできたこれまでの道のりを見晴るかせば 　選べなかった選択肢がある。 　選ばなかった選択肢がある。 　振り返る暇などない人生、主人公は、ふと、振り返ってしまう。 　おそらく自分…続きを読む

　眠れる乙女……本当に眠っているわけではないけれど、主人公……ヒロインはまさに眠れる乙女。 　優秀な魔法使いの家系に生まれ、魔力は持っているにもかかわらず、それがまったく使えない。…続きを読む

　ちからは、美しい。 　この物語は、ちからに魅入られた魔術師の物語……そのように読める。 　ちからは、生命力そのものであり、エントロピーの増大にともなって拡散してゆくものであり、…続きを読む

クトゥルー神話を題材にした詩的断片集 クトゥルー神話特有の不穏さや闇への憧憬を描きつつも、腐臭よりは上品な香りが感じられる。 断片の連なりが何を描き出すのか、登場人物たちの魂の痕…続きを読む

卒業の日のイベント。告白、そして残念、で始まる物語。 本気の気持ちを後ろ手に隠して、道化のように振る舞う主人公の姿が切ない。 そして最後に、倍を重ねる切ない展開。 勢いと熱量に溢…続きを読む

肉体の確かな重みを感じつつも嫌悪し、言葉の持つ呪力を実感するが故に詩人の言葉を憎悪する。 「俺」とは、そも「誰」なのか？ 止めどなく広がってゆき、閉じてゆく思索（詩作）のなかで、…続きを読む

『その人の値打ち』と言うと、たとえば 　人を楽しませる話ができる、とか、仕事が早くて丁寧、とか、料理が上手、とか、生きるための知識が豊富とか……どこかで『社会的な有用性』に結びつい…続きを読む

軽快なトークで始まる本作、謎のDJ、そしてオウム型ロボット搭載の口の悪いAI（このオウム型というのがまた絶妙なお約束感！）のふたりの織りなす物語。 テンポの良い会話に乗っての『リク…続きを読む

戦乱では、街が狙われる。 そこに軍事拠点があるし、富も集積している。 近くに河か港があって物資や兵の運搬・集積に便利でもある。 ご多分に漏れず、博多も戦国期にはなんども蹂躙され、灰…続きを読む

人には、選択肢がある。 もちろん「無限の選択肢」なんていうのは理想でしかなくて、大抵は狭い選択肢のなかのどれかを選びながら生きていく。 もしかすると、だれかの思惑で、本来あるはずの…続きを読む

少女と、ロボット。 どこかを目指すふたりの騒がしくものんきな道行は、食べ物の香りに満ちている。 けれど、ロボットは食べられない。 ふたりで旅をしていても、食べるときはひとり…… …続きを読む

言葉は通じる。 喜怒哀楽の発露も似ている。 身体つきは足が二本あるか尾びれがあるかの違い。 ただ、陸と海、彼らはすみかが違う…… そんな彼らは、どんな距離感で接すればより幸せにな…続きを読む

結婚で始まる家族関係といえば夫婦…… いやいや、この多様性の時代、なんかほかにあるでしょう？！ 妻には思う女性がいるのを承知の契約結婚、これがまあ、なかなかおさまりがいい。 世間…続きを読む

　本作には、快刀乱麻を断つような答えはなく、「会社が悪い」「同僚が悪い」あるいは「主人公が悪い」……わかりやすい悪者もいない。 　主人公が持つ特徴によって、主人公はもとより、同僚も…続きを読む

おそらくは互いに顔も知らぬ、名も知らぬ五名の、日常の一コマを描く短編集。 けれどもよく読めばそこに幽かなつながりがあることに気づくだろう。 誰かが通り過ぎた街角、美味しい定食屋、…続きを読む

人間も、人魚も、ひとりひとりの行動を追ってゆけば、『みんな正しい』。 人魚の女の子と人間の男の子はもちろんのこと、最初の人魚の思惑だって、終盤の人間の父親の選択だって、どれもそれま…続きを読む

恐ろしいことは起こらない。けれども本作はホラーである。 見つけなければ、それは恐ろしいものではなかった。 けれども見つけてしまったことによって生まれる怖さ。 そして、もしもその…続きを読む

『なな』と『はち』、その違和感に気がついたら、作者の仕掛けに嵌まったようなもの！ 作者がもくろむどんでん返しがどこで仕掛けられるか、読者は固唾を呑んで待ち構えていてもやっぱりしてや…続きを読む

奇怪な世界。『用途別に』造り出された人であって人でない者たち。 造られた者たち、与えられた目的のために存在している彼らといえど、喜怒哀楽はある。 過去に封じた哀しみも有れば、未来を…続きを読む

大切な『あの子』を取り戻そうと願う『僕』が行き逢った彼は、ひととき、異界を視る目を与えてくれた……。 妖精郷あるいはティル・ナ・ノーグ 魅入られた者が連れて行かれる永遠の国の物…続きを読む

この世界がどれだけの広さを持っているかは、作者の下のリンクにある作品も是非読んでみてほしい。 https://kakuyomu.jp/users/seeds_starlite/…続きを読む

なにかを失ったとき、人は立ち止まってしまうものだ。 過去はつねに愛おしく、そして静かに輝いている。 この物語では、そんな過去に囚われていた主人公が、不思議な鍵と紙飛行機に導かれて、…続きを読む

不幸を纏う女がいる。 不幸を祓う女がいる。 互いに望まぬ力を持ち、望まれぬままにただ存在してきた。 そのふたりが出会ったとき…… 他者がどうあっても、自分だけは、自分自身のありよ…続きを読む

主人公には秘密があって、それは本人ですら忘れていることで。 読者は「彼女はいったい何者なのか」「深淵の魔法使いと彼女のかかわりとはなんなのか」をゆるゆると追いかけつつ、穏やかな日々…続きを読む

お互いに気持ちが通じ合ってたら、愛の表現はどんなかたちだって……！ と、信じる乙女の胆力がいまこそ試される作品。 いやちょっと待ちなさいよ、が連発する展開。 生死とか倫理とか死者の…続きを読む

「ぼく」は家を出て、旅に出る。 さまざまな場所に行き、さまざまな人に出会い、さまざまな場面に遭遇する。 「ぼく」は深入りしない。 そして時々仄めかされる、だれかの「死」の影。 優…続きを読む

SF的な設定とダークな世界観、ファンタジー世界の登場人物を融合させた物語。 作者が複数展開している「ナラクノネザアス　シリーズ」のなかの短編で、かつ、魅力的な世界観や設定を紹介しつ…続きを読む

不思議な世界で起こる、ちょっとした事件、日常の風景。 生まれては去って行くその物語への、慈しむような、哀しむような作者のまなざしが優しい。 時に残酷な物語ではあっても、登場人物たち…続きを読む

静かな恋と、疾走する情熱、そして哀しい打算の物語 相手の見えない情熱に急き立てられるように行動する主人公の気持ち、そのものが読者に結末を予感させる。 そして…… 自分の気持ちの介…続きを読む