質疑応答は浮遊式

作者 硯哀爾

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★★★ Excellent!!!

幽霊はどうして幽霊になるんだろうか。
未練を残したから?
その場所に縛り付けられるような何かがあったから?

なんにもない(はず)の幽霊に、ほとんど交通事故に近いノリで憑かれてしまった主人公と、その幽霊の織りなすローテンションな日常。
ちょっとした同情や共感は、たいがい、裏切られることになるけれども、根は悪い人(幽霊)ではないらしい……?

その幽霊が生前感じていたであろう心残りがもしあるとするなら(一番感じていた報復は実行済み)もうちょっと世の中を味わってから死にたかった、って処なんだろうけれども……そういうの、切りないし?

本作の最後に幽霊がどうなるのかは、読んでのお楽しみとして、主人公にしか見えない幽霊、じつはけっこうそこらじゅうにいらっしゃって、単に見えていないだけでは……という気になってくる物語。
見えないながらも、余生(死んでるから余生ではないか……)を楽しんでいられたらいいな。

★★★ Excellent!!!

 突然目の前に黒髪長髪のイケメンだけど白装束の男が現れて「どうしたら成仏できると思う?」なんて尋ねられたらどうします? いや、普通はどうにもならないっていうか裸足で逃げ出すとか、せめて驚いて固まるとかですよね……?

 なのにこの主人公の女子大生ときたら、冷静に「どなたですか?」と尋ねてしまうし、当の幽霊さんも平然と状況を説明しています。説明した挙句に「お引き取りください」とか言われちゃうんですが……。

 どこまでも冷静で淡々と対処するクールな女子大生と、祟りスキルもある結構ヤバげなイケメン幽霊なのに、やたらと彼女の前ではズレて可愛くなっちゃう幽霊さんの会話がとにかく楽しいのです。

 一話ずつのオムニバス形式で、少しずつ明らかになり、変わっていく彼らの事情と関係がとても心温まるハートフル怪談(?)

 この夏におすすめの一作です!

★★★ Excellent!!!

 主人公のところに突如現れた約百五十年前に死んだ男の幽霊……。そんなに長く現世にいるとは、それなりに思い残す事や恨みつらみがあるのかと思いきや、なんだかとってもこざっぱりしており。

 移り変わる時代を見続けつつも、誰ともやり取りできずに今日まで来てしまった彼は、己を視認し会話が出来る主人公の存在に大喜びで、憑りつく……というかまとわりつくというか?
 現代社会に対する疑問をあれやこれやと主人公に質問責めしつつ、壁にささったり天井にささったりコミカルにさえ見える行動のイケメン(?)幽霊が、主人公と延々と漫才状態になるお話。

 こんな幽霊なら一家に一人いてくれても? と思うほどに愛着の沸く存在で、とにかく主人公とのやり取りが軽妙で楽しいです。
 お題でお話がまとまっているので、一話ずつ読んでも一気読みしても楽しめる構成で、明るい日常系のお話が好きな人におすすめの作品。