因果がなければ、解けるものも解けない……?
- ★★★ Excellent!!!
幽霊はどうして幽霊になるんだろうか。
未練を残したから?
その場所に縛り付けられるような何かがあったから?
なんにもない(はず)の幽霊に、ほとんど交通事故に近いノリで憑かれてしまった主人公と、その幽霊の織りなすローテンションな日常。
ちょっとした同情や共感は、たいがい、裏切られることになるけれども、根は悪い人(幽霊)ではないらしい……?
その幽霊が生前感じていたであろう心残りがもしあるとするなら(一番感じていた報復は実行済み)もうちょっと世の中を味わってから死にたかった、って処なんだろうけれども……そういうの、切りないし?
本作の最後に幽霊がどうなるのかは、読んでのお楽しみとして、主人公にしか見えない幽霊、じつはけっこうそこらじゅうにいらっしゃって、単に見えていないだけでは……という気になってくる物語。
見えないながらも、余生(死んでるから余生ではないか……)を楽しんでいられたらいいな。