お人好しと妹愛で破滅の運命を覆す!この展開はなかなか見かけない!
- ★★★ Excellent!!!
主人公は兄である。現世で死亡後、悪役令嬢物語の登場人物に転生してしまった兄である。
能力値は高く「聖女」のちからを持ち、きゅるんと可愛いけど、性悪の妹の兄である。
名を、セシルと言う。
「悪役令嬢」を蹴落とし、王子の婚約者の地位を横取りした妹の兄である。
その本性を知ってしまうと、とりあえず褒めるところを探すのが大変な、残念な妹の兄である。
そしてこの物語の本来の筋書きは、「悪役令嬢」がすべてを取り戻し、性悪聖女およびその他取り巻きを一網打尽に「ざまあ」するエンドなのである。
そう、主人公は、一網打尽に「ざまあ」されるその他大勢のひとりなのだ!
対する敵、悪役令嬢:公爵令嬢ヴァルトラウトは、凜々しい、くじけない、勤勉で有能、内政に優れ、真面目、公正に振る舞うべきところは公正に振る舞う、なおかつ、文武両道である。
なにこの完璧無比。
読者は一読、その人品骨柄立ち居振る舞いに魅了されること間違いなし!
こんなのちょっと魅了と聖女の資質があるだけの性悪妹が勝てるわけない……!
なので、破滅確定ルートをひた走る主人公、セシルはこの破滅エンドを覆す方法を考える。手持ちの武器は「物語の知識」「妹の取り巻きに限るが人脈」以上。
この主人公、お人好し方面に「性格がいい」。
いろいろ前世の経緯から、この箸にも棒にもかからない性悪妹が見捨てられない。
そして、妹の取り巻きにも、ほのかに同情し、もちろん敵であるはずの「悪役令嬢」の立場にも共感している。
性格的に敵が作れない。
お人好しな兄が、世界を、幸福な方向にひっくり返してくれる話である。
そして、お人好し・妹愛が、なぜか功を奏す!!
こんな展開、ありか! すげえ!
という展開が待ってますので、みなさま、ずずいとお読み進め下さい。