だれかの仕事が、だれかの迷いが、べつのだれかに届いている

おそらくは互いに顔も知らぬ、名も知らぬ五名の、日常の一コマを描く短編集。
けれどもよく読めばそこに幽かなつながりがあることに気づくだろう。

誰かが通り過ぎた街角、美味しい定食屋、愛読する漫画、ふと見かけた雑誌の記事、いつもそこにある百貨店、新装開店するカフェ……

そこには他者の息遣いがあり、仕事があり、迷いと誇りがある。
みながそこにあって、知らず知らずのうちにつながり合って生きている。

さりげない日々がふと愛おしくなる物語。