主人公には秘密があって、それは本人ですら忘れていることで。
読者は「彼女はいったい何者なのか」「深淵の魔法使いと彼女のかかわりとはなんなのか」をゆるゆると追いかけつつ、穏やかな日々を一日、一日、じっくり過ごしていくことになります。
そしてついに主人公の秘密が明らかになったとき、読者はふたつの問いかけのほかにもうひとつ……「深淵の魔法使いとはどんな人物なのか」、魅力的で神秘的な彼に関するこの問いの答えの一端を得ることになります。
そして、主人公とおなじようにいつか、もういちど彼に会いたい、そんな気分になっている物語です。