KADOKAWAがあなたの作品に大注目する第1回カクヨムWeb小説コンテスト
5,788 作品
ファンタジー部門
魔王を倒せ。それだけがお前の使命のはずだ。
魔王クラノスが人類に宣戦布告して十年。 強大極まりないクラノスの軍に劣勢に立たされ、退っ引きならない状態に陥った王国は教会の持つ禁断の秘奥、英雄召喚の実施を決定した。 召喚された聖勇者、藤堂直継の栄えあるパーティメンバーにプリースト(ヒーラー)として選ばれた俺は、残りのパーティメンバーとして選ばれた二人、魔導師と剣士が原石であり、まだ第一線で戦える実力にない事に気づく。果たして俺は魔王からの尖兵をしのぎ切り、勇者とその仲間達をレベルアップさせることはできるのか!?
今現在ある意味メインストリームともいえるWEB媒体でのファンタジージャンルということで、エンターテイメントを意識した高いレベルの作品が多かったと思います。
いかに早い段階で読者を引き込むか!?という趣向を凝らした作品達が凌ぎを削る中、今回大賞を受賞した『誰にでもできる影から助ける魔王討伐』の面白さは断トツでした。この手で来たか!と思わず唸るアイデア、そして、そのアイデアを見事に支える構成力。WEB連載という形式を巧みに使った作品です。とにかく続きが気になってしょうがない!
また、キャラの心情や状況描写などの表現力も高く、作品を形作る要素の噛み合い具合が群が抜いていました。キャラ造形も素晴らしく、苦労をすればするほど魅力が増す主人公アレスや、読者のストレスライン限界を攻めてくる難アリ勇者の直継などキャラクター小説としても大変優れていました。(ファミ通文庫編集部)
SF部門
横浜駅が自己増殖して日本列島を覆い尽くす未来小説。
絶え間ない改築の続く横浜駅がついに自己増殖の能力を獲得し、膨張を開始して数百年後の日本。本州の99%は横浜駅で覆われ、SUICA を所有する人間が住み自動改札による徹底した監視下にあるエキナカの社会と、それ以外の僅かな土地に追いやられた人間の社会に分けられていた。青函トンネルでは、増殖を続ける横浜駅とJR北海道との終わりの見えない防衛戦が続いていた。非 SUICA 住民達の住む岬で暮らしていた三島ヒロトは、古代地層から発掘された「18きっぷ」を手に、五日間限定での横浜駅への侵入を果たすが…
既存概念を壊しに掛かる作品、現代世界に新たなエッセンスを加えた作品、編集者の発想を何段も飛び越えた作品と、驚くほどに秀逸な作品揃いでした。共通点として、自由な発想で独自の世界観を構築しつつ“読み手が親しみやすい作品になるように”という意識があったように思います。エンタテインメント性が高いSF作品が多く見受けられました。
今回大賞を受賞した『横浜駅SF』は、“駅”が自動増殖し日本を浸食していくという独創性の高い発想が印象的でした。自動改札が追ってきたり生体認証が電子切符だったりと、誰もがイメージ出来てユーモラス。世界観の作り方が魅力的で、読者が忘れられない作品であると明言できるキャッチーさが評価されました。
SFというのは堅苦しく難しいものという印象があり忌避されがちですが、その概念が取り払われる素晴らしいSF作品が今後も誕生することを心待ちにしております。(カドカワBOOKS編集部)
ホラー部門
【注意】この作品には吐き気を催すほどの絶望があります
何の変哲もない高校生、梔無 暁人(くちなし あきと)。 ある日の朝、彼は懐かしいことに誰かに起こされる感覚を覚える。 だが彼は気づいてしまう。微睡みの中、嬉しそうに微笑むのは死んだはずの彼の妹だということを。 まるで妹に誘われるかのように、その日より暁人は信じがたい恐怖に巻き込まれていく。 これは無力な人間たちが『悪夢』と呼ばれるバケモノが密かに存在する世界で、ただ絶望に飲まれ続けていく話。
予想以上に色々なジャンルのホラーがあり、大変嬉しく思いました。
今回大賞を受賞した『僕の妹はバケモノです』は恐怖を途切れさせない構成が巧妙で、一瞬たりとも気が抜けませんでした。死んだはずの妹が何事もなく隣にいるという点ですでに何かがおかしいのに、さらに奇妙な殺人事件に巻き込まれ……と、ホラーの重ね掛けと予想の出来ない展開が大変印象に残りました。
惜しくも大賞を逃した作品も、ただの恐怖だけでなくストーリーとしてワクワクする怖さがあり非常に面白かったです。次を読ませる仕掛け作りが巧みで、テクニックが優れている作品が多く見受けられました。読者が予測できない恐ろしさ、そして理解不能な展開がプラスされると、ホラー作品としてより引き込まれる作品になりそうだと感じました。(カドカワBOOKS編集部)
現代ドラマ部門
お仕事小説 特撮ヒーロードラマのため、女性プロデューサー東へ西へ!
大手映像制作会社・東光の女性プロデューサーで主に映画やVシネマを手掛けていた宮地真由香は、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのチーフプロデューサーに任命される。 やがて作品制作が進む中、真由香に悪意を持つ正体不明の何者かがネットの巨大掲示板を使い中傷を開始する。果たしてその人物はいったい誰なのか、その目的とは? そして真由香がプロデュースする特撮テレビドラマ「飛翔戦軍スカイフォース」は商業的成功を収めることができるのか?
第1回カクヨムWeb小説コンテストへのご応募ありがとうございました。「現代ドラマ」は全ジャンル中、おそらく最も自由度の高い作品群が集まったという印象で、それだけに甲乙つけがたく、どれも楽しんで拝読しました。
その上で講評のポイントは3点です。ひとつはテーマ・題材のリアリティが担保されていること。ひとつは上記と逆のことを言うようですが、フィクション化の上手さ。最後は物語としてのゴールが明確に提示できているかどうか。
結果として、“特撮”という題材を活かし、多くの読者の共感も得られるお仕事ものとして、明るく前向きになれる読後感までを描いた『ヒーローは眠らない/作・伊丹央』が、講評の点を総合的に押さえていたと判断し、大賞として選出いたしました。もっともコンテスト集計時に1位~10位にあった作品は、それぞれ編集担当から評価の声も上がり、佳作として見受けております。
全ジャンル中最も自由度が高い=最も小説として成立させるのが難しいカテゴリーに、これだけの作品をご応募頂けたことは、web小説の読者にとっても、出版業界にとっても、大変収穫の多いものだったのではないかと思うに至る次第です。(富士見L文庫編集部)
現代アクション部門
チンピラの俺が女子高生勇者の家庭教師をやるハメになった件とビールとピザ
魔王化手術の横行によって、お金持ちのヤクザが「魔王」と化し、彼らを殺す商売が「勇者」として合法化した現代社会。 ビールとピザと、友達とのカードゲームを愛するチンピラ勇者・ヤシロは、三人の勇者志願の女子高生と出会う。目先の金に目がくらみ、彼女らの家庭教師を引き受けたことから、ろくでもない危険な事件に巻き込まれる。
現代アクションという枠組みの特徴でしょうか、幅広い、ある意味「枠に収まらない」多様な作品を目にすることができました。それだけに個々の作品の独自性、あるいはキャッチーさが求められるジャンルである、ということも感じました。
大賞を受賞した『勇者のクズ』は「ヤクザ=魔王」、「ヤクザを狩る者=勇者」という、現代を舞台にしつつも理解しやすい対立構造を作りあげた世界観が非常に受け入れやすく、かつキャッチーでした。また、主人公であるチンピラ勇者が悩みを抱えた勇者候補の劣等生の少女たちを指導する、という独特の育成ものを展開、エピソードで興味を持続させてくれました。キャラクターたちは強烈な個性を持っていますが、テンポの良いコミカルな会話でストレスなく読ませ、また疾走感のあるバトルシーンの描写には胸のすくような読後感がありました。
各章の見出しやキャラ紹介などの細部にまで「読ませる」意図が行き届いているなど、書籍化する上でのパッケージイメージも高く、大賞に推させていただきました。(ドラゴンブック編集部)
恋愛・ラブコメ部門
平安時代にタイムスリップしたんですが、……源氏物語作っちゃいますか?
京都に修学旅行中、平安時代にタイムスリップしてしまった妄想力だけが取り柄のオタク女子、香子。 助けてくれた恩人は、なんと紫式部? それに、紫式部がイケメン男子? 恩人の頼みを聞いているうちに、いつの間にか香子自身が『源氏物語』の作者になってしまって、後宮で逆ハー状態に。 乙女ゲーの世界でしか体験したことのない逆ハー状態に、とまどい気味の毎日。
第1回カクヨムWebコンテストへのご応募ありがとうございました。
恋愛ラブコメジャンルでは、男性向け・女性向け問わず、カクヨムというWeb媒体の特性を活かした“連載で読んで楽しい”ことを意識した作品が多く寄せられた印象でした。
その中でも、今回大賞受賞となった『平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです』では、主人公をはじめとしたキャラクターの好感度と、ストーリー全体を通しての読後感の良さ、また昨今Web小説の中でメインストリームとなりつつある異世界トリップの要素を上手く取り入れている点が決め手となりました。
恋愛ラブコメと一言で言っても、学園もの、ファンタジーなど舞台は多岐にわたります。
今後も新しい挑戦に満ちた作品に出会えることを楽しみにしております。(角川ビーンズ文庫編集部)
ミステリー部門
エンタメ×ミステリの新機軸! 驚きたい方、騙されたい方、こちらへどうぞ
悪党たちの暴れまわるミステリー群像劇へようこそ! 忍び込んだ先でダラダラ遊ぶ泥棒カップルは、部屋主の不穏な事情を推理で導き出してしまい、奇妙な事件に巻き込まれてしまう。恋人を人身売買組織に殺された青年は、その組織に潜入するが、上司に殺人を強要されてしまう。上海最強の殺し屋は、標的を追跡中、大切な相棒を殺されてしまう。 彼らををめぐる物語で暗躍する謎の賭博師「うさぎ強盗」。 彼が3つのエピソードをつなぐとき、予想だにしないどんでん返しが巻き起こる!
ミステリージャンルには、青春ものからデスゲームまでバラエティ豊かな作品が揃いました。物語に占める謎の濃度は違えど、どの作品も「キャラクター」を魅力的に見せようという意志が感じられたように思います。
大賞受賞作『うさぎ強盗には死んでもらう』は、「うさぎ強盗とは何者か?」という明確な謎を軸に、個性的な殺し屋たちが大活躍する小気味のよい群像劇でした。何と言っても殺し屋たちの台詞回しがカッコよく、彼らのやりとりや関係性に惹きつけられます。また、上海と京都という二つの舞台を魅力的に描き、それぞれの物語が絡み合って訪れる結末に驚かされました。
謎という、誰しも心惹かれる要素を上手く使った、新しいミステリー作品の誕生に今後も注目しています。(角川スニーカー文庫編集部)
最終選考を進めるうちに、「大賞以外の作品も書籍化したい」という声が編集部より上がってまいりました。そのため当初予定していた大賞以外にも、特別賞をもうけました。
今回は19作品を特別賞として選出いたしました。
タイトルとペンネームは読者選考終了時のものです
作品名五十音順
「第1回カクヨムWeb小説コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
読者によるおすすめレビュー
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