普段本を読まない人にもおすすめ

 SFを読まない人や、設定が難しい本を読まない人にもおすすめできる凄く面白いお話でした。
 理由は三つ。

 一つ目、単語が難しくないこと。
 わたしはSFが好きなのですが、SFは設定を理解するのがまず大変で、なんとなく理解できても実際どんな形のどんなものなのか想像しにくくて、古典SF?名作と言われるSF?は大体そこで挫折しています。でも、これは舞台が横浜駅で、出てくる単語は大体生物学?が元ネタなので、電車に乗ったことがあって高校理科やった人なら比較的容易にイメージできるっていう利点があります。そこがSFのハードルをぐんと下げています。

 二つ目、ストーリーが王道であること。
 読者は、物語が始まってすぐこの話の主軸をなんとなく理解するのですが、さっき出てきた自動改札って足生えてるの?とか、ネップシャマイって名前は元ネタあるの?とか考えていると、あまり先のことに思考を割く余裕がないまま読み進めることになります。物凄いどんでん返しがあるかどうかを目を凝らしながら読むような話ではない(推理物じゃないので)ので、ただ余計なことを考えずに読んでいけば、もしかして~と薄っすらと期待している展開に沿って最後まで行ってくるという爽快感が嬉しいです。恐らくこの作者さんが持っているであろう専門知識が、十分に意外性をもたらしてくれるので、読み応えもばっちりです。

 三つ目、想像力を働かせる余地があること。
 ビジュアルに関する描写が本当に僅かしかないので、読みながらついつい頭の中で映像化する癖がつきます。めっちゃCGにお金かけた二時間半くらいの実写映画に纏めて三年後くらいに公開してほしいです。とりあえずネップシャマイのキャストに誰が来ても文句を言う客になります。

 難しい設定が苦手なわたしによるおすすめできる理由は以上です。是非読んでみてください。

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横浜駅SF

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