概要
【第1回カクヨムWeb小説コンテスト現代ドラマ部門大賞受賞作】
大手映像制作会社・東光の女性プロデューサーで主に映画やオリジナルビデオを手掛けていた宮地真由香は、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのチーフプロデューサーに任命される。
同作品は東光の長年の看板・戦軍シリーズの最新作で、真由香は慣れない子供番組の制作に戸惑いながらも関わることになる。
シリーズの人気は年々右肩下がりとなっており、視聴率や評判次第ではシリーズ打ち切りや放送枠変更になる可能性もある危機的状況にあった。真由香はそんな状況の打破のため、メイン監督に腕は抜群だがあまりに個性が強烈過ぎてシリーズを干された老監督・長門清志郎を招聘する。長門に翻弄されながらも、真由香は作品を成功に導
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!いろいろな意味で必読書
言わずと知れた、第一回カクヨムWEB小説コンテストで大賞を受賞した作品。
内容は、特撮「戦軍」物を担当することになった女プロデューサーの物語。
さすがに大賞受賞するだけあって、文体は安定していて読みやすく、ドラマ部門で大賞なだけあってシナリオもしっかりしている。また登場するキャラクターもリアリティーがあり、ドラマ制作現場の細かい描写も本物っぽく、作者はそういう職場に実際にいたのだろうなと想像できる。
また、一年を通して制作される戦軍シリーズの、制作の流れや、苦労、細かい裏話が聞けて、興味のある人にも、ない人にも楽しめる作品となっている。
ただ、問題もある。
最大の問題は、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!非常に王道の成長物語
本作は畑違いの部署に配置転換された主人公が、様々な問題に直面しながら、その部署での仕事の面白さ、真髄とは何かを掴み取っていく成長物語です。
主人公の女性は、始めは子供番組の製作に携わるという感じで、実に軽く仕事を見ていましたが、スタッフと関わる内に様々な事を肌で学び、当初侮っていた子供番組という物が、実は中々侮れない物である事を知って考えを改めていきます。そして思わぬ形で訪れたトラブルを前にして、1人のプロフェッショナルとして大きく成長していきます。その姿が実に凛々しく美しい。
キャラクターが濃密かつ、見事に活描されていて、非常に完成度が高い作品です。王道の成長ドラマを読みたい方に…続きを読む - ★★ Very Good!!クセのある人と、そんな人と付き合う人への応援歌です。
15万字の長編ですが、グイグイと引き込まれ、最後まで読み進めました。
私もサラリーマンなので仕事物語には条件反射的にのめり込む傾向は有りますが、大きな要因は登場人物の強烈な個性だと思います。
特に長門監督さん。
先週の日経新聞に載ったピアニストの中村紘子さんを悼む記事によれば、中村紘子さんの著書の1つに、有名な音楽家には変わり者が多いというクダリが有るそうです。
優秀な人材というのは得てして長門監督のようなクセのある人で、そういう人材を活かす度量の有無は、その組織の中枢の人材次第なのでしょう。読んでいて、それを感じました。
そんな感じでドンドン読み進めていたので、気付かずに14万字をクリアし…続きを読む