Epilogue 「My Plofile」



『My Plofile』  阿部タケル(俳優)

 


 僕のデビュー作品は『飛翔戦軍スカイフォース』です。もう四年前の作品です。今では多くのテレビや映画に出させてもらっていますが、僕の役者人生の出発点は紛れもなくあの作品でした。原点と言い換えてもいいです。



 自分は本当にあの頃尖っていまして、オーディションで一人吠えたんです。「こんな役やりたくない。所詮お子様番組でしょ」って。で、結果会場から締め出されたんです。当然不合格かと思いきや、そんな石っころを、その番組のメイン監督である方に拾われたんです。そして、その方にこう言われました。今でも一字一句、鮮明に思い出すことが出来ます。騙されたと思って、この現場でやってみたらどうだ。お前にとって、自己表現に相応しい場所であったかどうか、決めるのは一年間走り切ってからにしろ。その後で、お前の感想を聞いてやる、って。

 その監督には毎日しごかれました。ハイスミマセン、と謝ってはいても、くそじじい! って内心反発していました。三十回以上NGを出したこともあります。そんな演技でお前は納得するのか! と毎日やられました。悔しくて家でひとり、泣いたこともあります。オトコのくせに、みっともないでしょ?

 でもその監督の手による作品は本当に素晴らしかったんです。第一話を初めて見たとき、鳥肌が立ちました。全ては監督の計算の積み重ねだったんです。多分監督の頭の中は精密コンピューターで出来ていて、職人肌の方ではありますが、同時に天才でもあり、隙なく映像を構築できるプロフェッショナルだったんです。この人の指示通りに動ければ阿部タケルは光り輝くことが出来る、そう考えてがむしゃらに毎日頑張りました。相も変わらず、ずっと怒られましたけど、それでも最初よりは監督の意図通りに動けるようになりました。自分自身成長したなあ、と少しは自己評価できるようにもなりました。でも、監督からは一度も褒められませんでしたけど。

 残念なことに監督は諸事情により番組を初期の段階で降板されました。最後まで監督と一緒に作品をご一緒できなかったことに本当に悔いは残りましたが、一年間番組を完走できたのは間違いなくその監督に鍛えられ、土台を作ってもらったおかげです。今でも感謝しています。



 その監督さんは、長門清志郎さんといいます。

 結局いろいろな理由があって、撮影が終わっても長門監督には直接お会いし、感想をお伝えできる機会がありませんでした。ですので、今ここでその感想を言わせてもらえたらと思います。

 長門監督、どうもありがとうございました。あんな刺激に満ちたプロフェッショナル揃いの現場で、演者のひとりとして作品作りに参加できたこと、今でも誇りに思います。あんなに燃えた一年はなかったです。

 そして今度、その長門監督が長編映画を撮られることになりました。監督が長年温めておられた企画だそうで、自分も演者の一人として長門組に参加します。久々にまた監督にシゴかれるのかと思うと、多少憂鬱にもなりますがほんの少し楽しみでもありますね。来週がホン読みと稽古の予定です。



 最後になりましたが、今も綿々と続いている戦軍シリーズやヒーロー番組を熱心に見てくれている人、そして撮影現場で日夜情熱を傾けている人々全てに、この言葉を捧げたいと思います。『スカイフォース』のプロデューサーだった女性の方が、現場で常に標榜されていた言葉なんですが。

 ヒーローは眠らない。



(二〇一八年八月三十日 某新聞日曜版コラム記事より)




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