Intermission4 「長門清志郎×宮地真由香 対談」



季刊雑誌『特撮NEWHERO WAVE』二〇一四年冬号

「飛翔戦軍スカイフォース」放送開始直前記念・特別対談

 長門清志郎(監督)×宮地真由香(東光プロデューサー)

於・ホテルニューラフレシア東京 二〇一三年十一月二十九日

  聞き手・福岡健太



―まずはお二人の出会いについてお聞かせいただけますでしょうか


宮地 監督と初めてお会いしたのはちゃんと手帳に控えてるんで、記録に残ってます。二〇一三年の六月で、雨が降りしきるなか、ドトールで。ちょうど、監督が児童劇団のワークショップで指導されていたあと、お話させていただきました。今回戦軍のプロデュースを初めて行うにあたって画作りに力のある監督にパイロットをお願いしたいと。ここ数年、戦軍を離れられていましたが、復帰願いたいと思い切ってお誘いしたんです。……覚えておられますか?

長門 もう昔のことだから忘れたよ。

宮地 またまた(笑)。あの時も、わたしが昔の監督の作品で「あの作品素晴らしかったです」と感想を述べたんですが、「知らない、忘れた」の一言で終わりだったんです。しかし実は監督一流のテレ隠しであることが後にわかって。本当は作品に対する記憶も知識も実に豊富な方だったんです。

長門 家には自分の作品は全部あるよ。それこそ、昔自分がやってたソフト化されていない、ピンク映画のフイルムだってある。ピンク映画のプロダクションが倒産したのをきっかけに、全部こちらで買い取ったんだよ。

宮地 そうなんですか?

長門 ただ自分の家が狭いから、自分の作品しか置けないけどね(笑)。それはともかく、作り手は自分の過去の作品を忘れちゃいけないね。でも昔のを見返すとたいてい後悔する気持ちの方が多い。ああすればよかった、こうすればよかったと思ってばかり。ここ最近の戦軍には関わってなかったけど、もし自分がもう一度撮るならいろいろと違ったアプローチで撮りたいと密かに考えていたんだ。もう、お呼びはかからないだろうなと諦めていたところ、宮地君からパイロットの話を貰った。率直に言って嬉しかったね。

宮地 監督にはホン作りの段階から、積極的にアイデアもいただきました。メインライターの能勢朋之さんも、長門監督には絶大な信頼を置かれています。

長門 能勢さんはこっちが推薦したんだけれども。アイデアが豊富なんで、こちらが撮り甲斐があると思って。実際にその通りだったね。


―主役に決まった五人の印象についてお聞かせいただけますでしょうか


宮地 今回の主役の五人については、いろいろと悩みましたけれども最終的には最強の布陣が揃ったと思います。レッドの西川(正秀)君は正統派の顔立ちでありながら、佇まいが非常に凛々しい。演技も伸び代があって今後も期待できる逸材です。ブラックの阿部(タケル)君は、長門監督が強硬に推されて、配役が決まりました。

長門 そうだね。奴は尖がってるし、ニューヨークに芝居の勉強のために海を渡ったとも聞く。あいつはね、オーディションの時、一人で吠えたんだよ。

宮地 ……カントク、その話は今はいいですから(笑)。

長門 あっ、そうなの(笑)。ただ、こちらが推薦した責任がある以上、他の奴らと同じ演技をされても困る。だから一年間、俺が責任を持って育てますよ。

宮地 ひとつ、お手柔らかにお願いします(笑)。イエローの成宮(良一)君は今回頭を坊主にしてもらいました。でも、似合うという……これはもともとカントクのアイデアなんですけれども。

長門 どうしていつも正義の味方はロン毛とかサラサラヘアーなんだろうという疑問があった。たまには坊主頭の正義の味方がいたっていいじゃないかと。でも、あいつは坊主頭が似合っているよ(笑)。今後のヒ―ローのあり方に一石を投じたような気がする。

宮地 番組の華であるヒロインの役割を担う、ホワイトの松下(桃)さん、ピンクの安木(梨央)さんも日を追うごとに成長していますね。パイロットの長門組の撮影の時、二人ともいきなり泣かされて……。

長門 ホントにドヘタで。本気で匙を投げたよ。しばらくカメラを回さずに、一時間くらい自主練をその場でやらせたし。

宮地 そうなんですか。実は昨夜はスタッフキャスト向けに第一話の試写があったんですが女の子二人、それを見てよりヒロインとしての自覚が芽生えたようでした。作品を見て、長門監督は女の子を綺麗に撮ってくれると感激していましたね。

長門 それが俺の仕事だから。

宮地 監督は懐深くて、いろんな抽斗を持ってらっしゃいます。まあその厳しい態度でいろんな人たちが泣かされていますけど(笑)、カット割りも巧みで一つ一つのシーンに意味を持たせる演出が本当に老練で、巧みです。


―長門監督が戦軍シリーズに参加されるのは二〇〇八年度の『爆流戦軍ダイナフォース』の第四十七話以来となりますが、その時と比べて違いを痛感されることはありますか


長門 技術はこの五年ですっかり変わったね。昔だったら合成で三〇分程度準備が必要なカットも二、三分程度でさっとやれてしまったり。スタッフの顔触れは以前の面々もいるけれども、成長しているやつもいて、それはそれで嬉しいもので。昔は泣き虫だった制作助手の女の子がしっかり現場の最前線で軸として動いてるのを見ると、歳月の流れというのを感じる。戦軍という伝統のある現場が映像人を育てているんだね。

宮地 アシスタントラインプロデューサーのKちゃんですね(笑)。

長門 そうね。ただ一番の五年前との違いは撮影手法がフイルムからビデオ撮りになったということ。そりゃ楽だよ。いまやモニターチェックで容易にテイク確認出来るんだから。フイルムに愛着はあるんだけど、そりゃ時代は流れているわけだから、それに応じた撮影手法を模索しないとね。照明はいまやLEDになったし。本当に楽になった。

宮地 撮影監督の植田(章弘)さんが昨日もおっしゃっていたことなんですけど、長門監督は本当に五年間のブランクがあったのかと。すんなりビデオ撮影にも馴染んでられていたそうで、その順応力の高さに舌を巻いておられましたね。

長門 それが俺の仕事だから。

宮地 そのセリフ、さっきも聞きましたよ(笑)。


―さて、宮地プロデューサー、他のスタッフにはどういった方々が参加される予定でしょうか


宮地 脚本は能勢さんにしばらくは書いてもらう予定です。演出陣は長門監督の他に、北村尚哉監督、阪口大輔監督にメガホンをお願いしています。もうそろそろ長門組の二周りめが撮入予定で、今はそのホン打ちとロケハン中です。

長門 役者ひとりひとりがどれだけパイロット組の撮影と違い、そして変わっているか楽しみだね。他の組に揉まれて大きくなったか、他の組で甘やかされて堕落しきっているかどうか。要は監督の北村や阪口といった奴らの力量も試されるというわけだな。

宮地 またそういうことを言う(笑)。


―では最後に今後の抱負をお願いいたします


長門 俺は今、六十二歳だけれども毎日楽しく仕事をさせて貰っている。いい画を撮るために、みんなに苦労させてはいるんだけれども、この仕事は十年も二十年もその先の世代に残るじゃない? フイルムからビデオに替わったけれど、本質は一緒だよ。あと、ヒーローを演じる役者どもには改めて肝に銘じてもらいたいことがある。テレビドラマなんてものは、年に何本も、何十本も作られる。しかし、こういう戦軍でヒーロー番組の主役として演じることが出来るのは一年一作だということ。誇りを持って演じてほしい。また映像モノは今はDVDだったり再放送で後々まで残るけど、こういったヒーローものはそういったソフトだけじゃなく、子供たちの心や記憶にいつまでも残り続けるからさ。だって、今とっさに十年前のテレビドラマの名前上げろといったってなかなか思い出せないよ。その点戦軍は、違う。俺はロートルだけれども、汗水垂らし、知恵を絞って、頑張りますよ。

宮地 今、監督がおっしゃられたことを聞いて、改めて自分の仕事に対して責任というか使命感を感じました。これまではずっと、テレビとは無縁のホラーとかVシネマを作ってきたわけなんですが、またそれとは別の緊張感や責任感を持って毎日懸命に仕事をさせて貰っています。本当に戦軍のスタッフたちはプロフェッショナル揃いなので、信頼も置いてますし、ツボを絶対に外さない人たちなんです。彼らの情熱をテレビを通じて、視聴者の皆様にわかってほしいと思います。残念ながら昨今戦軍シリーズの視聴率は低落傾向にあって、数字を多少意識しないといけないシビアな状況ではあるのですが、愚直に作り続けていけばきっとまた数字が上向きになるんじゃないかと信じています。ヒーローの灯は消しません、消せません。そう、今急に思いつきましたけど、ヒーローは眠らない、の精神です。あ、今の言葉はフォント大き目でお願いしますね(笑)。

長門 俺は未来の東光を背負って立つ、宮地プロデューサーに黙ってついていくだけだね。

宮地 いえいえ(笑)。この『飛翔戦軍スカイフォース』で加速をつけて、来るべき二〇一五年度、区切りとなる第三十五作目の戦軍作品にバトンを渡すことが出来れば、と考えています。


―本日は御二方とも、どうもありがとうこざいました

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