あとがき3
私はカクヨムの第1回web小説コンテスト現代ドラマ部門の応募要項に飛びつき、『ヒーローは眠らない』全話を、もうオープン前に一挙投稿することにしました。
そしてこの私のやり方は今更思うに、壮大な失敗でした。
最初カクヨムにアップしたのは全六話でした。本来は三十章あったのですが、何分素人なのでシステムがよくわからず纏めてアップしたほうが良いのかなあと考えました。また全話すべてを一挙に載せたのも今考えると明らかな愚策でした。他の方々は連載形式にして、読者の興味を煽りながら作品の内容を練り上げていました。まあ、こちらのほうが正しいやり方だと思います。
結果、コンテストのランキングが最初に実装されたとき、『ヒーローは眠らない』の順位は確か120位くらいのスタートでした。
ああ、これで私の中のカクヨムコンテストは終わった、と瞬間思いました。しかも私の場合SNSを行っていないため、作品を他に向けてCMする術もないという。120位スタートなら読者選考すら通過しないじゃないか、と泣きそうになりました。
それでも一応努力と工夫は行わないといけないと考え、遅まきながら章立てを細かく分けたり、サブタイトルをつけてみたりといった小細工を行いました。何とか順位はじわじわ上がっていきました。
でも今更ながらに思うのは、最初期に拙作にレビューをいただいた方のレビューです。このレビュー効果というのは間違いなくありました。おそらく拙作の順位が上昇したのは、こちらの方々のレビューのおかげだったと思うのです。
迷惑になるかと思うので皆さんの名前はあげませんが、今はカクヨムを退会されていますが確か2番目にレビューをされた方、そしてレビューにとどまらずツイッターや近況ノートにまで拙作に言及いただいた方、そしてコンテスト予想という企画の中で拙作をありがたくも大賞に予想された方のレビューなどなど……こういった方々のレビューや評価を読者が読んで★やレビューが増えて……そういった循環で、順位が少しずつ上がっていったと思います。本当にこれらの方々には感謝の思いしかありません。
『ヒーローは眠らない』は結局ランキングは最高が4位、最終的には6位くらいで選考期間が終了したはずです。そしてどうにか一次の読者選考は通過出来たものの、作者としてはまったく賞に引っかかる自信はありませんでした。何せ拙作の上には5作品もあるのです。そして拙作は当時は確か★100ちょっとくらいでしたが、その倍以上の★を獲得している作品が複数ありました。うん、これだと大賞はおそらく無理、なんとか佳作でも引っかかってくれればという思いでしたが……結果はまさに望外のものとなりました。
そんな『ヒーローは眠らない』は2016年12月15日に書籍化されることになりました。今これを書いているあいだも書籍化に向けての作業はまだ終わっておらず、これから大詰めの作業を残していますが、悔いのない一冊に仕上げたいと思っています。私のなかではこの作品でデビューすることになり、本当に良かったと心から思っています。
少し長めのあとがきになってしまいました。書籍版にはこれらの文章のあとがきは掲載されませんが、それでも『ヒーローは眠らない』には作者としていろんな思いが詰まっているので、長々と文章をしたためてこちらに残しておきたいと考えた次第です。ご容赦ください。
ヒーローは眠らない 伊丹央 @tomesan
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