君を呪わば穴二つ。それでも、眠るならずっと隣がいい。
現代に遺された最後の神秘――呪術が存在する世界。それはどうあっても、誰かを傷つける以外には使えない力だ。
鴻上永代は、呪術の街《六路木》に住まう高校生。同時にプロの呪術師でもあり、フリーの戦闘呪術師として生計を立てる……ことができていなかった。明日食うメシにも困る中、ともに住む妹を養うためにがんばっている。
そんな折、この街を頼って逃げてきたという少女に彼は出会う。
呪術世界の秘密を握る少女。彼女を組織の追手から庇い続けるも、次第に追い詰められていく永代は、そこで原初呪術のカースコード――呪いの言葉を耳にする。
今や使い手の消えた原初呪術。言葉の呪い。魂を奥底から縛る代わりに、強大な力を手に入れるという、傷を塞ぐための力。
「なにせ僕はいい奴だからな。仕方ない、君のことを助けてやる」
「いい奴は、そんなこと言わないと思うけど」
――呪術世界の成立と崩壊を巡る、それは、繋がりの呪術の物語。