概要
西暦は亡び――コギト歴728年。
いつしか世界は【錆】に覆われていた。
【錆】によって人々は住まう場所を奪われ、その営みの多くを制限されていた。
浄歌士――それは唯一【錆】を退ける奇蹟を可能にする者たち。
浄化の歌をうたう歌姫たちが、擦り切れた黒色と出逢うとき、錆び付いた時計の針が動きだす――
S(錆び逝く)F(ファンタジー)アクション――此処に開幕。
※この物語は強姦・殺人その他犯罪を助長・推奨するものではありません。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!寂寞感の中に見出した希望。その希望に向かい、試練を乗り越える物語。
まずは、閲覧者には、作品の世界観を伝えたい。風の谷のナウシカ、ターンAガンダム。主役級の男が常人離れしているから、未来少年コナンか。いずれも老人が挙げる事例だから、若人には伝わらないかな。世紀末の雰囲気が良い塩梅で漂っているんですがねぇ。
そう言えば、世紀末物って、最近は見ないですね。21世紀の初めですからね。閉塞感に着目するならば、四半世紀前よりも現在の方が末法思想に染まりそうなものですが…。
そんな懐古趣味に染まった年配閲覧者には、本作品をお勧めします。
若い人には、どうだろう?
作品の"現在"に物語は始まり、章を重ねるに従い、過去のベールが剥がされていきます。そう、ミステリーっぽい展開…続きを読む - ★★★ Excellent!!!融合と調和
西尾維新氏に影響を受けた作家は多く、カクヨムやライトノベル業界でも散見される。
しかし大抵の場合は氏の言葉遊びの部分の模倣に終始しており、世界観やストーリー、人物造詣と渾然一体となって初めて成り立つものだということに気が付かない。
『Rust ~錆び逝く物語~』の雪車町地蔵氏は、その関門をオリジナリティ溢れる完成度の高い世界観によってクリアしている。
SF。『錆』。この二つのエッセンスは、人間味が失われやすい言葉遊び重視の会話運びに、無機と有機の融合という概念を与える。
鉄は無機だが、風化する鉄は文明の名残を感じさせる。
浄歌士という概念も、旧き良きファンタジーの吟遊詩人のような印象を持…続きを読む - ★★★ Excellent!!!詩のように紡がれた、美しい旅の物語
この作品はまさに、SFであり、錆び逝くファンタジー。
読み終えた時、とても長い旅を終えたようなそんな心地いい満足感がありました。
独自の世界観や、個性豊かなキャラクターたちもさることながら、
何より魅力的なのは作者様の詩のように美しい言葉選び。
豊富な語彙だけでなく、文章のリズム、独特な言い回しがとても心地いいし癖になる。(アイネスの口癖であるDISLIKEは、特に!)
自分も物語を書く者として、大変刺激的でした!
長編SFですが、お話の設定は案外シンプルで筋が通っていてわかりやすい。
身構えることなく、馬車に揺られる気持ちで読める作品です。 - ★★★ Excellent!!!描き出される美しさと、溢れんばかりの壮大さをあなたに
この作品を読み終えての感想はまさに『美しい』の一言。
どこか懐かしさを感じる文体も表現も力強く、まるでこの物語を映像として鮮明に映し出されるように。
【錆】のある世界で生きていく姿や浄歌士の存在がどうして必要なのかと、心を揺さぶられるように惹きつけていく。
まさに傑作といっても過言じゃないです。
他の方々も感想を見てもわかるのですが、不意打ちされるように感動しました!
もっと読みたい、それ以上にこの世界に浸りたい、そんな気持ちがずっと残ってます。
これが今読めれるかが不思議でたまりませんよ(笑)
そのぐらいオススメしたい作品です!