寂寞感の中に見出した希望。その希望に向かい、試練を乗り越える物語。

まずは、閲覧者には、作品の世界観を伝えたい。風の谷のナウシカ、ターンAガンダム。主役級の男が常人離れしているから、未来少年コナンか。いずれも老人が挙げる事例だから、若人には伝わらないかな。世紀末の雰囲気が良い塩梅で漂っているんですがねぇ。
そう言えば、世紀末物って、最近は見ないですね。21世紀の初めですからね。閉塞感に着目するならば、四半世紀前よりも現在の方が末法思想に染まりそうなものですが…。
そんな懐古趣味に染まった年配閲覧者には、本作品をお勧めします。
若い人には、どうだろう?
作品の"現在"に物語は始まり、章を重ねるに従い、過去のベールが剥がされていきます。そう、ミステリーっぽい展開をします。
また、この手の作品ではお約束事ですからネタバレにならないと思いますが、大団円で終わる事が読んでいて予想できるので、安心して読み進められます。この作品は途中のプロセスに面白さが凝縮されているのです。
加えて、先のレビュアーが指摘してますが、語彙力に優れた作者の紡ぐ押韻が文章を面白くしています。そして、登場人物達が奏でる浄歌。それらが相互作用して、抒情詩を形成しているのです。
だから…、若い子にも気に入ってもらえるでしょう。

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