目を閉じて、耳を澄ませて

 読み始めてすぐだ、切なさが自分の胸の中に生まれたのは。
 言葉の選び方だろうか、それともその言葉達が紡ぎ出す輪郭にだろうか。
 そんなことを考えながら読み進めると、「嗚呼なるほど、読み始めた瞬間にその世界に立ってしまっていたからなのだ」と気付かされた。
 目を閉じれば景色が浮かび、耳を澄ませば歌声が聞こえてくる。
 そうしている内にいつの間にか、自らの胸にあった切なさが昇華されていく。
 ただ祈る――彼女達の行く道に、幸多からんことを。

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