「今こそ!音楽する自由を!自由の意志を奏でましょう!」
人工知能を教育し、共に音楽を創る「共創師」。電子副脳に支援されながら、素早く新規性の高い作品を産み出す音楽家「電伶」――二〇五五年、芸術・学術・遊興の街として生まれ変わった京都では、これらの電脳音楽家たちが人気を博していた。
主人公・守上翔(もりがみ かける)は、気鋭の「共創師」兼「電伶」である吹華銀凛(ふきばな ぎんりん)に憧れ、京都稜華芸術大学高等部音楽専攻で学んでいた。ひょんなことから銀凛の秘密を知ってしまった翔は、彼女に弟子入りを志願し、音楽を産み出す苦しみを知りながらも、徐々に成長していく。そして銀凛が抱える苦しみ、過去の秘密に触れ、彼女を助けたいと思うようになるが、同時に彼女を利用しようとする実業家・沙原奇信の陰謀に巻き込まれていく。
芸術の《特異点》シンギュラリティを超え、人工知能が芸術を分析し、評価し、爆発的な創造を行う未来において、人間の創造性のありかはどこにあるのか?
これは、未来の物語。あるかもしれない、未来の物語。