概要
主人公・守上翔(もりがみ かける)は、気鋭の「共創師」兼「電伶」である吹華銀凛(ふきばな ぎんりん)に憧れ、京都稜華芸術大学高等部音楽専攻で学んでいた。ひょんなことから銀凛の秘密を知ってしまった翔は、彼女に弟子入りを志願し、音楽を産み出す苦しみを知りながらも、徐々に成長していく。そして銀凛が抱える苦しみ、過去の秘密に触れ、彼女を助けたいと思うようになるが、同時に彼女を利用しようとする実業家・沙原奇信の陰謀に巻き込まれていく。
芸術の《特異点》シンギュラリティを超え
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!超カッコいい洗練された音楽SF!
背景、心理、音楽等々、描写が洗練されているので、映画を観ているように、映像も音が浮かんできて、わくわくしながら読んでいました。
音楽面に関しては、おそらく、音楽に詳しくない方にも共感出来、詳しい方は想像が膨らみ、一層楽しめることと思います。
章のタイトルになっている曲、良い曲ばかりで、おすすめです!
銀凛さんのお好きなアーティスト John Coltrane の代表的なカバー曲『My Favorite Things』は、アレンジがオシャレです。
登場人物も皆、好感が持て、興味深いです。
特に、臼井先生が出て来た途端、なんだかホッとしました。(笑)
そして、強大な敵の存在……。怖い!
(…続きを読む - ★★★ Excellent!!!SFと音楽の未来――そして、全ての創作者の根源への物語。
近未来的なガジェットたちを、音楽をモチーフにすることで新しく見せる手法に目を奪われつつも――その物語の内容は、人の根源へと下りて行く探究的な物語。
なぜ音楽をするのか? なぜ音楽が好きなのか? なぜ何かをつくるの?
何かをつくり上げるとということの意味を、作者と共に探っていく物語の構造には、確かな構成力を感じさせる。『音楽がどこにあるの?』のサブタイ通り――その答えを僕たちはまだ知らないのだ。
そんな音楽をめぐる探求の物語で、これから先、主人公と彼の師である銀凛――そして、音楽を奏でるために創られたリリィの未来と、その辿りつく答えに耳を傾けながら、物語の結末を待ちたいと思う。
個人的…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この小説に出会えてよかった
これが出版されたら、僕は間違いなく買います。
感想文です。すみません。ネタバレ成分もわずかに含まれています。
まず大前提、文字を追うだけで楽しい。一つ一つの言葉が丁寧で、綺麗。文章が光って見えます。すっかり魅了されました。
そして、登場人物たちがキャラクターとして脳内に浮かび上がります。名前と性格と言葉で、『人間』が構成されてるように思いました。文句なく、上手い。
さらには世界観。『今』からさらに進んだ『近未来』が説得力を持って存在していました。だからこそ、のめり込めます。主人公の視点から追体験しているような感覚が得られました。
そう、だからこそ主人公の感情や思いがダイ…続きを読む