その日、人間の創造力は奪われた。
創作行為をAIに行わせるという世界的プロジェクト「カリス」。
だが、そのデータベースは当初の予想を大幅に超えた拡大を見せ、
それはやがて、人類の創造力すらを簡単に上回ってしまった。
どんなに斬新なアイデアも、どんなに挑戦的なコンセプトも、
美の女神カリスによって「制作済」の烙印を押されてしまう世界――。
創造力を機械に奪われてなお、人は何のために「創る」のか。
狂気に堕ちた芸術家たちの祭典で、”職業芸術家”キジマはその答えを目撃する。
ハヤカワSFコンテスト最終候補「Dystopiartwork」改題。