AIが人間を凌駕する世界で、女は芸術の意味を神に問いかける。

将棋で人間を下したり、お店でペッパーくんが客と会話していたり、自動車の自動運転が実用化の段階に入ったりと日々進歩を続けるAI。
しかし、進歩によってAIによって仕事が奪われてしまうという問題も。
そして、本作の舞台は今より少し先の、AIが芸術の分野でも人間を超えてしまった近未来。

あらゆる芸術作品を生み出す機械知性――
カリス・プロジェクトの誕生によって、多くの藝術家は仕事を失った。
一部の藝術家はカリスを超える作品を作ろうと、倫理の壁を無視して機械には再現不能な作品を作ろうともがき足搔く。
そして、そんな藝術家のひとりであるスナドリ・リヒカは、この世界に多大な影響を与える、ある作品を発表しようとするのだが……。

機械によって藝術家の存在が意味を失った世界という設定も刺激的ならば、藝術家たちが、クローン技術や人体拡張、違法薬物を利用して生み出す様々な芸術品も非常に刺激的。
だが何より強烈なのは、本作の最大の謎であり、作品全体のテーマにも直結する、スナドリが作った作品。
この作品を通じて彼女が導き出す答えは、世界の新たな真理か、それともただの妄想か。
それは是非読者に直接読んで判断してもらいたい。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)

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