電車に轢かれて死んだ主人公が目覚めると、異世界で皇帝に捨てられた廃妃・奉景の身体に宿っていた。「皇帝を惚れさせれば帰れる」という頭の中の言葉に従い、文芸で皇帝を射止めるために執筆活動をはじめることに。
文学芸術の才によって地位が決まる世界観がいいです。
主人公が転生した元妃の少女・奉景は、幼い頃から神童と呼ばれたベストセラー作家。しかし前世では一般人だった主人公は、まったくの創作初心者。そんな奉景が四苦八苦しながら創作に打ち込む姿が初々しいです。
皇帝の寵愛を失い、才能が枯れたと思われている奉景を宮廷の人々は冷たく見下す。けれども奉景をお姉様と慕う絵師の少女・朔月と、大商人を目指す見習い商人のカトルと出会い、三人で手を組んで出版活動を企む。実力も実績もない弱小サークルが「最高のものを作ってやるぜ」と大言壮語を言い放つ。その心意気やよし! 創作者たるもの、それくらいの自信がなければなりません!
しかし用済みになった廃妃が活動を続けることに不満を抱く一派が妨害工作を仕掛けて、三人の計画が早速暗礁に乗り上げる。果たして奉景たちの創作活動はどうなるのか? 見捨てられた廃妃の逆襲劇に期待です。
(「これが私の創作道」4選/文=愛咲優詩)