《呼ばれざる語り手による補足、あるいは物語の始点、……そして自省》

 

 それは、代替を求めたのかもしれない。


 ぬいぐるみを抱くように。


 古い毛布を棄てられないように。


 与えられた期待、喪失した役割。


 保育器のガラス越しに向けられた眼差し。


 母になるために生まれてきた。


 その役割は果たせなかった。


『失敗か』と、彼は言った。


 だから、わたしは、


 紡ぎ、語り、創ることを、憑かれたように求めるのかもしれない。


 ……そんなことを言ったら、笑われてしまうだろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る