乙女ゲーム脳×平安時代タイムトリップ=理想のラブコメ。

 最初の印象は「学生時代にこの作品に出会っていたら……!」
です。
 タイムトリップものは数あれど、平安時代、それも貴族として扱われたら――
 歴女なら誰しも願ってやまない展開が繰り広げられます。
 初対面の男性は『~人目の攻略対象』、
 会話をしたら『分岐イベント』、
 好感触だったら『フラグ確保』
とオタク女子ならではの受け止め方で物語は進んでいきます。

 そして作者略歴にある通り当時の社会情勢、風俗、服飾雑貨など仔細に描きつつ、ルビ(読みがな)もつけている丁寧な描写がストーリー展開に確かな輪郭を与えています。
 各話のサブタイトルもラノベタイトルのようなこだわりぶり、
 ラブコメは好きでも日本史は少し、いやかなり苦手という方にこそおすすめの作品。

「いづれの御時(おおんとき)にか、ファンタジー・ラブコメ
あまた さぶらひたまひけるなかに、
いとやむごとなき 際(きわ)にはあらぬが、
すぐれてときめきたまふありけり。」

 ときまきます。

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