凄い目の付け所が良いだけに、取材不足が否めない内容に残念。
実際のドラマの見せ場は棺を炉に送り出す前に、遺族が別れを済ます時に
遺族が泣き崩れたり、叫んだり、時には阿鼻叫喚の騒ぎになる事も。
他にもお骨をいかに早く正確に、焼くか。
そして、1000℃を超える炉の火力調節や、焼きあがったお骨を
如何に早く正確に人の形へと「整骨」するか。
そこに葛藤やドラマがあったりなかったりするんだけれども。
あと坊さんが女性だと、地域によっては忌避されたり陰口叩かれたりするかそこでもドラマが生まれる。
描きようによっては、吐き気を催すような醜い、人間ドラマが生まれる。
リアルな元職員から見ると、本当にもったいない素材。
まだまだ現実の斎場の方が良い意味でも悪い意味でも面白いので頑張ってください。
第一証まで読ませていただきましたが、とても夢中になって読むことができました。重すぎず、そして軽すぎない、本当にお見事!と言える作品です。冒頭から一気に惹き込まれます。短時間で決まってしまう面接とか、リアルにありますし……!
仕事による自殺が年々増えていく中で、どうして部下たちが苦しい思いや、最悪、死ぬ思いまでに至らなくてはならないのか。
このお話は、幻想なんかじゃなくて、死と向き合う人、そして死を送る方々の思いを丁寧に描かれているお話です。
是非、リーダーに当たる方々に読んでいただきたいと、強く願っております。
とはいえ、話の流れがスムーズで、惹き込ませ方がとても素晴らしい作者様ですので、是非読まれてみてください!
火葬場。それほど多くの縁がある場所ではないけれども、人生の最後、多くの人がここから旅立っていく、大切な場所。
こちらの物語は、お葬式に関わる多くの仕事(こんなにたくさんの方々が関わっているということを初めて知った)をそれぞれの視点から掘り下げた、オムニバス形式のお仕事小説。
章ごとに変わる主人公が、皆それぞれ忘れられない過去を抱えており、お仕事小説というだけでなく、ヒューマンドラマとしての色合いもとても強い作品です。
人の死という重いテーマではあるけれども、ほんわかとした恋愛要素が随所でからめられ、流れるような文章と相まってとても読みやすいです。
早いか遅いか、それだけの問題で、いつかはみんな死んでしまう。
でも誰だって、誰かにとっては大切な人。
死ぬということ、見送るということをとても深く考えさせられる作品でした。
多くの人が知っているであろうお葬式と火葬場を「職場」として見ることのできる作品です。重くなりがちなテーマですが軽やかな語り口で読みやすいです。
各章ごとに異なる主人公のエピソードが展開されますが、それぞれの章の登場人物は繋がっています。それぞれが抱く疑念や悔いなどの想いが絡み、あるいはほどけていきます。
作者独特の既存の四字熟語に同音異義の漢字を当てはめる各章のタイトルがエピソードに意義を持たせます。
亡くなっていく人が残していく想い。
生きている人が受け継ぐ想い。
身体はなくなり現世を離れるけれど、失くならないものがある。
それがその人が生きていた証。
残していく人への想い。
「死」を通して「生」を強烈に考えさせる作品です。
「働くヒト」小説コンテスト参加作品。趣旨にぴったりの作品です。ぜひ読んでみてください。
本作『それでも火葬場は、廻っている』は、くさなぎそうし氏の代表作『花纏月千(かてんげっち)』に次ぐ“葬儀屋シリーズ”第二弾という位置づけだ。作者いわく「コミカルで読みやすさ重視」とのことだが、一章と二章では、おもむきが異なる構成になっている。
一章は……“陽”。もちろん、人の生き死にを扱った作品である以上、どこか悲哀の影がさすところも見られるが、誰がなんと言おうとこれは陽だ。とある暗い過去を持つ主人公、春田俊介は上昇志向が強く、勝ち得た職場で“葬儀の本質”へと歩んでゆくこととなる。進化するキャラクターであり、“大変なトラブル”を抱えた彼の視点で物語は進む。そこである“決断”をする……という内容。
対して、二章は“陰”だ。女僧、夏川菜月は“身近なある人”の死をきっかけに“劣化”していくのである。一章から登場する彼女はどこか凛とした雰囲気をたたえ、落ち着いた人物だったが、二章では一転、逡巡の中でもがく人、となる。
進化する陽性の男と劣化する陰性の女……両キャラクターの出会いが物語前半の骨組みとなっていることから、くさなぎ氏が対比をはかっていたのは明確だ。そういう意味では一、二章はセットと捉えて良いと思う。出会ったふたりが恋人となるのかどうかはまだわからないが、互いが刺激を受け合う関係となっている。今後の進展を見守りたい。
個人的には二章のほうが語る点を多く持つと思う。一章は決断の早い春田が主人公であるせいか、心理より展開が先行する内容となっている。彼は最終的に葬儀を自身の“使命”と認識し、結婚式場を職場としていた兄を超えることを誓う。結末は痛快と言ってよい。
二章は逆だ。菜月の心理に展開が付随する。彼女は親しい人の死を直視できず、火葬にいたってもなお未練を残し続ける。女僧である彼女は故人を見送るプロフェッショナルのはずだが、ドライになりきれない甘さが話の展開軸を作っている。やはり陰鬱なほうが評論の対象になりやすいということか? 私が勝手にそう思っているだけかもしれないが。
もうひとりの祖母……そう呼ぶ人物の唐突な死は“私がもう少し遅く行けば……”と自責するほどの苦悩を菜月に与えることになる。ここに至るまでの過程は心理描写に長けるくさなぎ氏らしく緻密で繊細かつ自然だ。周囲の助けもあって最終的に吹っ切ったようだが、余韻は残った。やはり二章は陰のストーリーだ。
そして、三章が開幕した。今度は陰陽どっちに舵をきるのか? 楽しみにしてますよ、くさなぎさん!
人が誰もが辿る道。
『死』に関わる仕事をする人々が、それぞれの境遇や立場で人を送り出すことの意味を考え成長していく、ヒューマンドラマの色合いが濃いお仕事小説です。
第二章完結時点でのレビューになりますが、第一章は兄の死を認めて送り出すことができなかった青年が、葬儀会社に入ってとあるトラブルに巻き込まれるお話でした。
第二章は、祖母の後を継いで僧侶になった若い女性が、慕っていた女性の死を前に、僧侶として送り出さねばならない立場と故人との別れを純粋に悲しみたい心との間で揺れ動くお話でした。
故人を送り出す人たちは、生前の関わり方や故人への思いの深さで千差万別の思いを抱いて葬儀に望みます。
慕う人の死を受け入れ、きちんと送り出すことで悲しみを乗り越えるための心の準備をするのだと、葬儀というのは故人のためだけではなく、送り出す人たちのためにも必要な儀式なのだと、この作品を通じて感じることができました。
誰もが経験することだからこそ、皆さんに手に取っていただきたい、そんな作品です。
この作品を拝読していると、「死を持って生を考えさせられる」という言葉が浮かんできます。「死」と向き合って、成長していく若手新入葬儀社員。そして他人の「死」を乗り越えようとする女性住職。それぞれの立場から、「死」について考えさせられるのと同時に「生きる」を考えさせられました。この作品は群像劇の形式のため、まだ主人公として出てきていない人々がいます。これからも楽しみです。
小生も以前、仕出し屋として葬儀や法事の際に葬儀社の裏で働いていた経験があるので、懐かしく思います。料理のセッティングから片付けまでをこなしていて、しかも常に時間が押していて大変な仕事だと思いました。
葬儀という、誰もが経験するけれど熟知しえない場所の裏側が覗けます。
故人を見送るしめやかな場面において、しかし舞台裏は熱狂する。
どれだけ多くの人が関わるのか実感できます。
本作は、そんな場所で生まれるドラマを濃密に、けれど前向きに描いています。
葬儀は重く悲しいものですが、本作では決して暗く沈み込むだけではありません。
残された人がどう生きるべきか、そのために何ができるのか。
誰もがそう考え前を見ます。
どこかユーモラスなキャラクターも相まって、一章は爽やかな終わりを迎えます。
お仕事モノとして、ヒューマンドラマとして、続きが楽しみです。
それと、作者の別作品『花纏月千(かてんげっち)』もあわせて読むと、葬儀に関してかなり詳しくなれそうです。
お仕事モノとして、ヒューマンドラマとして、続きが楽しみです。
更新頑張ってください!
葬儀屋の面接を受け、見習いとして始めた主人公と、行く先で関わって来る人々、それぞれの思いが交錯するお話。
葬儀とは故人を偲び、そして思いを次へ繋いで行く儀式と言えましょう。
しかし、故人の思いが残された者たちにしっかりと受け継がれて行くか…なかなか難しいところでもあります。
そんなそれぞれの思惑が入り乱れ、美しくも物の哀れを感じさせてくれる物語ですね。
本当に故人を思うのであれば、残された者たちは故人を心配させてはならない。我々が生きて行く上で必ず訪れる別れ。そういった際にどう向き合ってゆくべきなのかを考えさせてくれる作品と言えましょう。
死はなかなか縁がないようで、実は身近なもの。
葬儀場も、多くのかたが一度は足を運ぶであろう場所。
しかし、そこで働くひとや仕事内容はあまり知られていないのが現実です。
そんな業界にスポットを当てた作品です。
第一章は、新入職員の視点で物語が進んでゆきます。
そこで描かれる人間ドラマは、一度間違えたら直すことはできないくらい繊細です。その繊細さが、なぜか例えようのない「美しさ」のように感じてしまいます。
人は死と向き合うとき、自分やほかの人の思い、今後の身の振り方(=生)にも向き合います。
「美しさ」と、「死と生」という対照的な概念に向き合う、作品です。
主人公の気構えが徐々に変化していく様が、
優しい描写で巧みに表現されている秀作です。
舞台は葬儀場で主人公は元ニート。
働いている場所をレポートするのではなく、
新たなスタートから物語は綴られていきます。
お仕事コンの投稿作を今、読み漁っていますが、
仕事の様子を淡々と書き連ねている作品が多いです。
しかし本作はとても物語性に富み、どのように物語を
導いていきたいかの導線がハッキリと読み取れるので、
さすがくさなぎ氏だなと安心して読み進められます。
現在最新投稿まで読みましたが、本当はもう少し
後でレビューすべきなのかもと思いました。
でも物語が進んでも変わらぬ安定感は他作で
見ておりますので、まあいつ書いても一緒かと(笑)
とても読みやすく、
シチュエーションにも惹き込まれる作品です。
おすすめ度 ★★★