故人を送り出すことの意味を深く考えさせられます。

人が誰もが辿る道。
『死』に関わる仕事をする人々が、それぞれの境遇や立場で人を送り出すことの意味を考え成長していく、ヒューマンドラマの色合いが濃いお仕事小説です。

第二章完結時点でのレビューになりますが、第一章は兄の死を認めて送り出すことができなかった青年が、葬儀会社に入ってとあるトラブルに巻き込まれるお話でした。
第二章は、祖母の後を継いで僧侶になった若い女性が、慕っていた女性の死を前に、僧侶として送り出さねばならない立場と故人との別れを純粋に悲しみたい心との間で揺れ動くお話でした。

故人を送り出す人たちは、生前の関わり方や故人への思いの深さで千差万別の思いを抱いて葬儀に望みます。
慕う人の死を受け入れ、きちんと送り出すことで悲しみを乗り越えるための心の準備をするのだと、葬儀というのは故人のためだけではなく、送り出す人たちのためにも必要な儀式なのだと、この作品を通じて感じることができました。

誰もが経験することだからこそ、皆さんに手に取っていただきたい、そんな作品です。

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