亡くなるけれど失くならないもの

 多くの人が知っているであろうお葬式と火葬場を「職場」として見ることのできる作品です。重くなりがちなテーマですが軽やかな語り口で読みやすいです。

 各章ごとに異なる主人公のエピソードが展開されますが、それぞれの章の登場人物は繋がっています。それぞれが抱く疑念や悔いなどの想いが絡み、あるいはほどけていきます。

 作者独特の既存の四字熟語に同音異義の漢字を当てはめる各章のタイトルがエピソードに意義を持たせます。

 亡くなっていく人が残していく想い。
 生きている人が受け継ぐ想い。
 身体はなくなり現世を離れるけれど、失くならないものがある。
 それがその人が生きていた証。
 残していく人への想い。

 「死」を通して「生」を強烈に考えさせる作品です。
「働くヒト」小説コンテスト参加作品。趣旨にぴったりの作品です。ぜひ読んでみてください。

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