概要
※【6/14】長くなったため、番外編部分を新規小説として分割しました。ご了承下さい。
以後の更新はこちら:『インゴルヌカ短編集〝ネクロパンカ〟』https://kakuyomu.jp/works/1177354054881220305
※【5/8】本編完結済み、番外編開始。どちらから読んでも大丈夫です。
まっさらな魂が、亡くなった故人の記憶と肉体を得た「ゾンビ(偽生者)」に生まれ変わってしまう世界。
世界最初にして最大のネクロポリス・インゴルヌカは、迫害された彼らの聖地とな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼らは“まだ”生きている——死者の楽園、ネクロポリス・インゴルヌカで
本作では、死者がゾンビとして生き返ることがあります。しかし、彼らは他人に感染させたり、正気をなくして人を襲ったりする一般的なイメージから大きく異なる存在です。
死者にまっさらな魂が入り込んで、その記憶と身体を得てしまう——本作におけるゾンビとは、そういう存在なのです。
そんな彼らが迫害の末にたどり着いた聖地、ネクロポリス・インゴルヌカ。ゾンビをモデルに生み出された動く屍・ワイトの輸出によって繁栄する死者たちの楽園で、「鎮伏屋」のサイゴは何を見るのか——。
魅力的なキャラクターの造形、時に冷たく、時に美しい情景描写の数々、なにより途方もなく緻密なネクロポリス・インゴルヌカという世界が、読者…続きを読む - ★★★ Excellent!!!安寧を奪われた動く屍の都で、戦う者たちのレクイエム
故人の肉体に新しい魂が入り込み、ゾンビと化す世界で、死者をインフラとした最大の産学連携都市・インゴルヌカ。迫害されるゾンビたちの最後の安住の地であるはずの都は、未だ生者と死者双方の未練が渦巻き、「鎮伏屋」の青年は依頼人の案件の解決に奔走する。
多人種多言語が混在する都市と、SF的なギミックの数々、ハリウッド映画的な人物造形と彼らの関係は、世界観が緻密なエンターテイメント小説が好きなら大満足の逸品。
科学とホラーは一見相性が悪そうに見えるが、本作は違う。テクノロジーでは解決できない問題、つまり、感情を救うために戦うのが「鎮伏屋」だ。死と蘇生が当り前の世界で、取り零された死者の無念と生者の祈…続きを読む - ★★★ Excellent!!!死屍累々のその先の、魂と躰と溶けゆく記憶の物語
ブロマンス小説を探しています。という企画にご参加いただき、こちらを拝見させていただきました。
完結作品という事もあり、安心して一気読みし、死者の爪先まで消費してやろう貪欲さと、それらを覆い隠すかのように冷たさを深めるインゴルヌカという都市の世界観に没頭させていただきました。
緻密な設定を崩れさせることなく乱れ打たれる死体・死体・死体の描写!物語を通して徹底的にインゴルヌカでの死者の姿が説明されることで、自然と読み進めるうちに二種類の死者の違いも頭に入り、クライマックスまで迷うことなく主人公サイゴの姿を追いかけることができました。
企画視点でいうと、本作の中核になる兄弟の遣り取りがやは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!全てが許される都市、ネクロポリス・インゴルヌカ
この壮大かつ緻密な物語のテーマは、「許し」ではないかと思う。
様々な事件や出来事が絡み合い、過去に起こした過ちや行き違いの清算が行われていくメインストーリーは、想像する着地点を何度も裏切り続けて哀しくも愛おしい結末に収束していく。
そして、何よりも作中都市、インゴルヌカの成立は、迫害され安息地を求めて集ったゾンビ達と共にある。そんな生きるという事への許しを求めた彼らアンデッド達の思いを優しく包み込む雑多で奇怪な都市、インゴルヌカの情景描写はとても美しく、読後には、この架空の都市に望郷にも似た思いを抱かされた。これは間違いなく一級品の作品である。是非、みなさまに一読をおすすめする。