概要
https://kakuyomu.jp/publication/entry/2017030103
西暦2078年――脳を接続してプレイするゲームハード「アウターワールド」。戦争からセックスまで、どんな事でも仮想体験できるこのゲームに、【排出者-Ejecter-】として挑むことになったヒキコモリの少年クロセ!
祖父の死の謎を追う彼を待受けるのは、狂気に犯されたプレイヤー達、巨大な陰謀 そしてOSを名乗る、謎の美少女だった…!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!近未来の息づかいを感じる傑出したsci-fi小説
本作は埋没型ウェアラブル端末「Play fun!12」によって、バーチャル世界への没入が可能となった、近未来の日本を描くsci-fi小説である。
手脚に障がいをもつ青年の鬱屈した内面と、ユビキタスが普及した騒々しい社会を丁寧に描写することで、この作品は充分な説得力とリアリティを持って読む者を魅了する。
読み始めてしばらくの間は句読点の用法に多少の違和感を抱きもしたが、読み進めればそんな瑣末なことは気にならなくなるだろう。説明などでクドくなりながちなジャンルだが、作者の巧みな表現力ですんなりとその世界観を受け入れられる。
間違いなく時間を割いてでも読む価値のあるサイエンスフィクションだ。 - ★★★ Excellent!!!危ないところで助けていただきました。排出者は私のヒーローです!
仮想現実の発達した世界。拡張現実に身を置く人間が、ある日中毒症状を起こしてしまう事件が発生する……。ある少年は、その事件に向き合うこととなった――。
VRMMOというジャンル、仮想現実から戻れなくなるという設定。
ともすれば陳腐になりがちな設定をうまく料理し、エンターテイメントとして高い水準まで持って行った作品。
「ならでは」といった演出が心をくすぐり、活かした単語に素敵なルビが「男の子」を心地よく刺激してくれる。
ああ、良い時間だったけれど、危うくアウターホリックに陥るところだった。寸でのところで助けてもらえたね。イジェクター《かれ》に感謝の意を伝えたいんだけれどここで構わないのかな? - ★★★ Excellent!!!この作者、すでにプロレベル!!
自分は今までSFに関してジョージ・オーウェルやフィリップ・K・ディックなどの海外作家から、伊藤計劃や冲方丁などの日本作家まで幅広く読んできました。そして、本作品はそんな作家の作品群と真っ向から勝負できるレベルだと、胸を張っておススメしたい。
導入の文字化けによる演出は、読者にSFっぽさを味合わせると共に、作品の世界観を短期間で伝えています。これで惹かれない訳がない。
また、その後に続く主人公の心情の伝え方がこれまたすごい。情景描写や緻密な文章構成を巧みに操り、主人公が外界から隔絶された世界で過ごしてる孤独や寂しさを彼の口から語らせることなく読者に伝えています。
また、知識に裏打ちされたSFら…続きを読む