近未来の息づかいを感じる傑出したsci-fi小説

本作は埋没型ウェアラブル端末「Play fun!12」によって、バーチャル世界への没入が可能となった、近未来の日本を描くsci-fi小説である。
手脚に障がいをもつ青年の鬱屈した内面と、ユビキタスが普及した騒々しい社会を丁寧に描写することで、この作品は充分な説得力とリアリティを持って読む者を魅了する。
読み始めてしばらくの間は句読点の用法に多少の違和感を抱きもしたが、読み進めればそんな瑣末なことは気にならなくなるだろう。説明などでクドくなりながちなジャンルだが、作者の巧みな表現力ですんなりとその世界観を受け入れられる。
間違いなく時間を割いてでも読む価値のあるサイエンスフィクションだ。

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