概要
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高校の美術部でイジメを受けて死んだらしい姉。
妹の少女は、美術部の全員に復讐をしたい。
でも、方法がない。
そのとき、姉を好きだったという男子生徒に会う。
彼は、美術の枠を超えて色彩学を極めた、素姓の知れない少年。
それは「手品」?
……否、色の「幻術」。
実在する色彩現象を「超常現象」にまで発展させた異能の天才。
少女は天才に持ちかける。
「あたしと一緒に復讐しない? その手品を使えば、完全犯罪だって成立するわ」
「手品じゃない、幻術だ」
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!色彩学に基づいた現代ファンタジーとミステリーとラブコメの融合
色彩心理を駆使した現代ファンタジーにミステリーやラブコメ要素も盛り込んだ、長編小説の傑作。
随所に登場する幻術は、ややファンタジー様にも見えますが、実際の色彩学にしっかり裏打ちされており、美術への造詣の深さに驚嘆させられました。読んでいて勉強になります。
また登場人物の名前、アルファベット順に登場する章も、実在の画家、美術家の名前に準えられており、非常に面白いです。
無駄なく、かつテンポよく話は進んでいき、ストーリーとしても先が気になるような展開で抜かりない。
大きく2話構成なのですが、1話目は2話目で展開される読者の予想を良い意味で裏切る布石のようにも取れ、エンターテイメント性も非常…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これぞエンターテイメント。色鮮やかな仕掛けを駆け抜けろ!
読んでいる間はハラハラしっぱなし。
とある高校で繰り広げられる凄惨な復讐劇に、実は異能が使われていて――という物語ですが、そこに謎解きと黒幕捜し、ラブコメ要素がミックスされているとあれば、楽しくないわけがなく。
緩急自在な戦いも、激昂からすっと冷やされていく瞬間も、謎が明かされる瞬間も、次どうなるか気になって仕方がないから、どんどん読み進めていく羽目に陥りました。でも後悔はないの。残った感触は、スポーツを楽しんだ後のそれに似たさっぱりした感触ですから。
仕掛けられる罠、そして登場人物のまとうファッションは色彩学に基づいたもの。そのリアリティにもうっとりだけど、美憐ちゃんと渡くんのやりとりに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!光と色の哀しくも美しい幻術に、貴方もきっと魅せられる。
まず色彩術という発想そのものと、加えてそれを小説でやってしまう、という度胸にも技量にも驚かされる。
そして、その試みが見事に成功し、これほどまで読者を虜にしている様にはとかく脱帽するしかない。
章題をはじめ、数々の言葉遊びや見立てなどミステリ好きの心をくすぐる要素をふんだんに盛り込んだかと思えば、異能バトルさながらのわくわくが止まらないアクションが展開するのだから、全く目が離せなくて途中で読むのを止め難くて困る。
あとスカートがよくめくられるので目のやり場にも困る。
そして推理やアクションと同じく見逃せないのが、人間関係だ。
歪な関係から始まった渡と美憐の距離感を始め、他の個…続きを読む - ★★★ Excellent!!!エンターテイメント小説、ここにありですぜ!
膨大な色彩学の知識に裏打ちされた、リアリティ溢れる物語です。
とにかく古今東西の「色」にまつわる逸話を惜しげもなく散りばめ、しかもそれが煩いウンチク披露にならない構成力は圧巻です。
ややもすると「魔法」などという誤魔化しで強引にお話が展開していく物語が多い昨今、この小説は読み手を頷かせながら、いつの間にか夢中にさせてくれるエンターテイメント小説のお手本です。
もちろん主人公の美憐と渡の胸キュンな、またちょっぴりスケベなサービスシーンも重要なファクターでありながら、絶妙なスパイス加減となっております。
長編大作ですが、とにかく飽きさせない。一転、二転しながらラストのどんでん返しまで、読み応え充…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新感覚 色彩術を使った能力バトルミステリー
色彩術ってなんだ?
新しい! 面白そう!
そう思って読み始めましたが、内容も期待を裏切ることなく、いや、むしろ期待以上に楽しめました。
色彩術という不思議な能力を使ってバトルするミステリーで、かなりの長編になるのですが、名前を使った言葉遊びや、テンポのよい会話文のおかげで、すらすらと読み進めることができました。
かといって、内容が薄いというわけでもなく、ミステリーとしての驚きも、能力バトルとしてのアツい展開も用意されています。
なにより、色彩心理学(でいいんですかね?)の知識が本格的に盛り込まれていて、超能力ものとして新たな路線を切り開いた作品なのではないかと思います。
色について詳しい方…続きを読む