概要
麓の街に住む快活な中学生・義凪は、ある事故をきっかけに病弱な同級生・彩加に淡い想いを抱く。しかし謎の地震を引き金に彩加を失い、風守の一族に人質として囚われてしまう。両親が敵組織の関係者という事実、そしてなぜか自身も命を狙われ、現実に打ちのめされる義凪だったが…。
三年前に壊滅した一族の生き残りはたった八人。
義凪の先輩であり、一族の参謀役を担う要。
彩加と魂が共存していたという巫女・楓。
クラスメートである唯やその兄弟、そして狼たち。
義凪は彼らと接するうちに現実を受け入れ、やがて宝玉を巡る戦いに身を投じてい
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!優しさの炎が灯るとき――
『紅く燃える森 ~人質少年と宿命の巫女~』を読み始めてすぐ、私は心の奥にぽっと灯る焰のような感情に包まれました。風に導かれ、運命に触れる義凪の最初の出会い――それはまるで、誰かに優しく呼ばれたような、不思議な懐かしさを感じさせてくれます。
彩加という儚くも芯の強い存在に出会い、ゆっくりと義凪が変わっていく姿、そして淡雪町の静謐な風景と、彩加の儚さ、そして次第に明かされる神話の記憶が、現実と幻想の狭間を行き来するように美しく綴られていて、読みながら心がそっと震えました。
喪失と赦し、選ばれた者としての葛藤……それでも前を向こうとする少年の歩みを見守りたくなるような、そんな優しい読後感…続きを読む - ★★★ Excellent!!!何も知らない中学生が囚われ敵に命を狙われ、自分と仲間のために戦い始める
主人公の中学生・義凪(よしなぎ)は、神社に寄った帰りに、黒い車に襲われ、跳ねられてしまう。意識を失った義凪が、目を覚ましたのは森の中で、隣にいる同い年くらいの少女がどうやら助けてくれたらしい。
その少女は義凪の同学年で隣のクラスの彩加だった。
その事故をきっかけに義凪と彩加は仲良くなるが、穏やかなありふれた学校生活は、ある日突然、地震と共に一変することになる。
感想:普通の中学生だった主人公が、わけもわからないまま見知った先輩に捉われ、風守(かざもり)の一族人質になり、自分の親や彩加や一族の正体と使命を知ることになるが、その場面の移り変わりが緊張感に溢れていて、人の命が失われる悲しみや、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少年は刃を握る。命を賭ける理由は分からずとも、目の前の仲間を守るため
やはり、悩みながらも戦う主人公は良いモノだ。
キャッチコピーに違わず、主人公の義凪君の成長と仲間との絆を描いた現代ファンタジーの本作。
戦闘描写も丁寧で読みやすく、様々な仲間たちとの関わり合いの中で、自分の身の上や戦う理由に向き合っていく義凪君の姿は、まさしく王道主人公というに相応しいものです。
もちろん、彼だけではなく仲間たちも仲間たちでそれぞれに事情を抱えて、義凪君に好意的な人からそうでない人まで様々。そんな彼ら彼女らの心境の変化に注目するのもこの作品の楽しみの一つです。
そんな本作、皆さんもぜひご一読してみてはいかがでしょうか? - ★★★ Excellent!!!宿命と呪いの狭間で抗う者たちの、魂の戦い
本作は、宿命に抗う者たちのヒューマンドラマと、重厚な伝奇ファンタジーが交錯する物語です。剣と魔術がぶつかり合う異能バトルの興奮と、人間の内面に深く切り込む葛藤が、一つのストーリーに融合しています。
主人公・結城義凪が「人質」として連れ去られるというところから物語はスタートしす。彼は試練の中で自らの意思を持ち「戦う覚悟」を決めていきます。その過程には、風守の一族の仁科要、佐伯彩加、姫巫女・京といったキャラクターたちが関わり、それぞれが背負う宿命と向き合いながら生きています。特に彩加の存在は、義凪の決断に大きな影響を与え、物語に強い余韻を残します。
戦うたびに代償を払う「呪術」の存在が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自ら立ち上がり、大切な人たちのために刀を振るう少年の物語
わけもわからず連れ去られ、"人質"として少年少女たちに匿われた主人公・義凪
義凪は、彼を匿った"風守の一族"と、非道な"研究所"との争いに巻き込まれていく──というあらすじの本作品は、義凪の成長譚を主軸にした現代ファンタジーバトル小説だ
両親が"研究所"と関わりのあった義凪だが、彼自身は本当に何も知らず、ただ青春を謳歌していただけだった
わけもわからず連れ去られ、母親と引き離され、さらには初恋の少女と死別した義凪を待ち受けていたのは、さらなる過酷な現実だ
にも関わらず、義凪は、子供ばかりの一族の人々と交流を深め、さらには自らに秘められた才能をも覚醒させていく
悩み、苦しみ、葛藤を経て成長…続きを読む