『紅く燃える森 ~人質少年と宿命の巫女~』を読み始めてすぐ、私は心の奥にぽっと灯る焰のような感情に包まれました。風に導かれ、運命に触れる義凪の最初の出会い――それはまるで、誰かに優しく呼ばれたような、不思議な懐かしさを感じさせてくれます。
彩加という儚くも芯の強い存在に出会い、ゆっくりと義凪が変わっていく姿、そして淡雪町の静謐な風景と、彩加の儚さ、そして次第に明かされる神話の記憶が、現実と幻想の狭間を行き来するように美しく綴られていて、読みながら心がそっと震えました。
喪失と赦し、選ばれた者としての葛藤……それでも前を向こうとする少年の歩みを見守りたくなるような、そんな優しい読後感が残り、続きを読まずにはいられない作品です。
主人公の中学生・義凪(よしなぎ)は、神社に寄った帰りに、黒い車に襲われ、跳ねられてしまう。意識を失った義凪が、目を覚ましたのは森の中で、隣にいる同い年くらいの少女がどうやら助けてくれたらしい。
その少女は義凪の同学年で隣のクラスの彩加だった。
その事故をきっかけに義凪と彩加は仲良くなるが、穏やかなありふれた学校生活は、ある日突然、地震と共に一変することになる。
感想:普通の中学生だった主人公が、わけもわからないまま見知った先輩に捉われ、風守(かざもり)の一族人質になり、自分の親や彩加や一族の正体と使命を知ることになるが、その場面の移り変わりが緊張感に溢れていて、人の命が失われる悲しみや、人質としての生活の不安さ、優しくされたときの泣きたくなるような気持ちが丁寧に描かれている。
オススメです⛩️
やはり、悩みながらも戦う主人公は良いモノだ。
キャッチコピーに違わず、主人公の義凪君の成長と仲間との絆を描いた現代ファンタジーの本作。
戦闘描写も丁寧で読みやすく、様々な仲間たちとの関わり合いの中で、自分の身の上や戦う理由に向き合っていく義凪君の姿は、まさしく王道主人公というに相応しいものです。
もちろん、彼だけではなく仲間たちも仲間たちでそれぞれに事情を抱えて、義凪君に好意的な人からそうでない人まで様々。そんな彼ら彼女らの心境の変化に注目するのもこの作品の楽しみの一つです。
そんな本作、皆さんもぜひご一読してみてはいかがでしょうか?
本作は、宿命に抗う者たちのヒューマンドラマと、重厚な伝奇ファンタジーが交錯する物語です。剣と魔術がぶつかり合う異能バトルの興奮と、人間の内面に深く切り込む葛藤が、一つのストーリーに融合しています。
主人公・結城義凪が「人質」として連れ去られるというところから物語はスタートしす。彼は試練の中で自らの意思を持ち「戦う覚悟」を決めていきます。その過程には、風守の一族の仁科要、佐伯彩加、姫巫女・京といったキャラクターたちが関わり、それぞれが背負う宿命と向き合いながら生きています。特に彩加の存在は、義凪の決断に大きな影響を与え、物語に強い余韻を残します。
戦うたびに代償を払う「呪術」の存在が、独自の恐怖と緊張感を生み出しています。戦いは一瞬で決着がつくものではなく、長く尾を引き、登場人物たちの心を蝕んでいきます。戦略と心理戦が交錯する緊迫した戦闘が展開されます。
そして第二章ではさらなる謎が浮かび上がり、新たな脅威が迫ります。義凪たちは過去に隠された真実と向き合いながら、より深い戦いに巻き込まれていくことになるでしょう。宿命と呪い、希望と絶望が絡み合うこの物語が、どのような結末を迎えるのか、今後の展開が楽しみです。
わけもわからず連れ去られ、"人質"として少年少女たちに匿われた主人公・義凪
義凪は、彼を匿った"風守の一族"と、非道な"研究所"との争いに巻き込まれていく──というあらすじの本作品は、義凪の成長譚を主軸にした現代ファンタジーバトル小説だ
両親が"研究所"と関わりのあった義凪だが、彼自身は本当に何も知らず、ただ青春を謳歌していただけだった
わけもわからず連れ去られ、母親と引き離され、さらには初恋の少女と死別した義凪を待ち受けていたのは、さらなる過酷な現実だ
にも関わらず、義凪は、子供ばかりの一族の人々と交流を深め、さらには自らに秘められた才能をも覚醒させていく
悩み、苦しみ、葛藤を経て成長していく義凪という等身大の主人公は、一読者として非常に好感が持てる
やはり、主人公がカッコいい作品は良作だ
読み進めるほどに面白い本作品、是非一度手に取ってみてほしい