色彩心理を駆使した現代ファンタジーにミステリーやラブコメ要素も盛り込んだ、長編小説の傑作。
随所に登場する幻術は、ややファンタジー様にも見えますが、実際の色彩学にしっかり裏打ちされており、美術への造詣の深さに驚嘆させられました。読んでいて勉強になります。
また登場人物の名前、アルファベット順に登場する章も、実在の画家、美術家の名前に準えられており、非常に面白いです。
無駄なく、かつテンポよく話は進んでいき、ストーリーとしても先が気になるような展開で抜かりない。
大きく2話構成なのですが、1話目は2話目で展開される読者の予想を良い意味で裏切る布石のようにも取れ、エンターテイメント性も非常に高いと思います。
傑作といって差し支えないと思います。
素晴らしい作品をありがとうございます!
読んでいる間はハラハラしっぱなし。
とある高校で繰り広げられる凄惨な復讐劇に、実は異能が使われていて――という物語ですが、そこに謎解きと黒幕捜し、ラブコメ要素がミックスされているとあれば、楽しくないわけがなく。
緩急自在な戦いも、激昂からすっと冷やされていく瞬間も、謎が明かされる瞬間も、次どうなるか気になって仕方がないから、どんどん読み進めていく羽目に陥りました。でも後悔はないの。残った感触は、スポーツを楽しんだ後のそれに似たさっぱりした感触ですから。
仕掛けられる罠、そして登場人物のまとうファッションは色彩学に基づいたもの。そのリアリティにもうっとりだけど、美憐ちゃんと渡くんのやりとりにもキュンキュンさせられる。小さな利害の一致から始まった関係が、ラッキースケベも経て……
お約束なラストシーン。ああ、本当に可愛い二人。
そのシーンまで一気に辿りつけるから、是非読み始めてみてくださいませ。
まず色彩術という発想そのものと、加えてそれを小説でやってしまう、という度胸にも技量にも驚かされる。
そして、その試みが見事に成功し、これほどまで読者を虜にしている様にはとかく脱帽するしかない。
章題をはじめ、数々の言葉遊びや見立てなどミステリ好きの心をくすぐる要素をふんだんに盛り込んだかと思えば、異能バトルさながらのわくわくが止まらないアクションが展開するのだから、全く目が離せなくて途中で読むのを止め難くて困る。
あとスカートがよくめくられるので目のやり場にも困る。
そして推理やアクションと同じく見逃せないのが、人間関係だ。
歪な関係から始まった渡と美憐の距離感を始め、他の個性的なキャラクターたちや、その絡みを見ているだけでとても楽しい。
全部語ると大変なことになるので止めておくけれども、青春エンタメとして極上の読み応えを約束してくれる作品だ。
また結末に触れるので多くは語らないが、あの終わり方にもとても作者のポリシーを感じ、好感が持てた。
個人的に、ある意味これぞ王道青春ミステリ、と思う。
もっとも。あらすじに書かれているとおり、確かにミステリとしては邪道でしょう。
でも、そんなこと別にいいじゃないですか。
だってこんなに面白いんだから!
つまりうだうだ書いたんですけど、シンプルに言ってとっても面白かったです。
楽しい読書時間を本当にありがとうございました。
ああ、それにしても渡がカッコいいんですけどどうすればいいんですか。もっともっと二人のやりとりを見ていたいんですけどどうすればいいですか。
私もあのお方に力を授かれば続編が生まれてきますか?
ちょっと手駒にされに行ってきます。
余談ですが、変態(褒め言葉)が大好きなので聖人お兄様も大好きです。
膨大な色彩学の知識に裏打ちされた、リアリティ溢れる物語です。
とにかく古今東西の「色」にまつわる逸話を惜しげもなく散りばめ、しかもそれが煩いウンチク披露にならない構成力は圧巻です。
ややもすると「魔法」などという誤魔化しで強引にお話が展開していく物語が多い昨今、この小説は読み手を頷かせながら、いつの間にか夢中にさせてくれるエンターテイメント小説のお手本です。
もちろん主人公の美憐と渡の胸キュンな、またちょっぴりスケベなサービスシーンも重要なファクターでありながら、絶妙なスパイス加減となっております。
長編大作ですが、とにかく飽きさせない。一転、二転しながらラストのどんでん返しまで、読み応え充分です。
面白い!
色彩術ってなんだ?
新しい! 面白そう!
そう思って読み始めましたが、内容も期待を裏切ることなく、いや、むしろ期待以上に楽しめました。
色彩術という不思議な能力を使ってバトルするミステリーで、かなりの長編になるのですが、名前を使った言葉遊びや、テンポのよい会話文のおかげで、すらすらと読み進めることができました。
かといって、内容が薄いというわけでもなく、ミステリーとしての驚きも、能力バトルとしてのアツい展開も用意されています。
なにより、色彩心理学(でいいんですかね?)の知識が本格的に盛り込まれていて、超能力ものとして新たな路線を切り開いた作品なのではないかと思います。
色について詳しい方もそうでない方も、色彩心理学に興味がある方もない方も、ぜひご一読ください!
面白すぎる・・・・・・。
どの部分からお勧めすればいいのかわからない!!
読み進めるごとにぐいぐいと物語に引き込まれてしまい、一気読み必至です!
『異能を操る』という現実では到底考えられない設定なのに、『もしかすると、この世には、本当にこんなことが出来る人が存在するのかもしれない』そう思えるような世界が広がっています。
登場人物一人一人の背景も丁寧に作りこまれており、個々に感情移入しやすいのも魅力的です。
『色』という特殊な題材を扱っているにも関わらず、学術的な話しに偏ることなくバランスが絶妙です。
物語のベースにあるのは『しがらみと復讐』なのに、陰湿な感じは全く受けません。むしろ、途中で微笑んでしまうほど。
当然、ミステリとしても非常に面白いです。
章が進む毎に少しずつ複雑になり、ミスディレクションには本当に「やられたー!」と声が出てしまいます。
個人的には商業レベルではないかと思います。
ああ、叶うことなら後日談とか短編とか読みたい・・・・・・。
読みたいってずっと言い続ければ、いつか読める日が来るかな。
復讐が復讐を呼ぶ緊迫感あふれるストーリーに終始ハラハラドキドキさせられました!
遅読の私ですが、物語の結末が気になり、ついつい夜更かしして読んでしまう始末!
そもそも、「色彩」で戦うだなんて、普通は思いつきません。この発想は凄い! アニメ化したら、どんな映像になるんだろうなどと妄想しながら読んでいました。
はっきり言って、もっと続きを読みたいです! ネタバレになるからあまり詳しくは書けないけれど、主人公たちにはこれからも危険がつきまといそうな雰囲気ですし、何よりも美憐ちゃんと阿保くんの今後が気になって夜も眠れません。書籍化&シリーズ化したら、ぜひ買いたい!
あと、余談ですが、やたらと美憐ちゃんのスカートの中をのぞくくせして冷静な顔つきの阿保くんはアホだと思います。
そして、目の前で顔を真っ赤にしてモジモジしている美憐ちゃんに対して素っ気ない阿保くんはやっぱりアホだと思います。
もっと喜べよ!
世の中には、惚れてくれる女子どころか口をきいてくれる女友達すらいない、僕みたいな人間もいるんですよ!?(魂の叫び)
タイトルを見て、クリスティの『ABC殺人事件』を連想する方が一定数はいるかと思います。真っ先に思い至るのは、題名の必然性と内容への疑問。
ミステリ・ファンや内容を熱心なミステリ宣教師から聞きかじったことのある方なら、思わず「にやっ」ときてしまうような読み心地の良い要素が散りばめられています。
ミステリ? 難しそう...と云う方もご安心を。この作品、筆者の寛大さが成せる技なのか、ヒロインの下着をガン見出来ちゃいますから。素晴らしいです、ワインレッド。
本作の特筆すべき点は、探偵役と助手役の立ち位置。
王道のミステリにおいては読者は助手役に感情移入し、ある種の天才的変人たる探偵役の推理を拝見する訳ですが、テンプレートと意図的に外している点が新鮮です...!
なんと、主人公が犯人(ここまでは既存の手法)で、ヒロインが教唆犯(ここまでは既存の手法)で、ヒロインが摩訶不思議な色彩現象による事件のトリックを本人に直接突きつけます(仰天しました)。この手法には驚きました。
ヒロインと共に色彩学に基づいた推理をしつつ犯人たる主人公のを掘り進めていく形式でありながら、それに留まらず、そもそもの発端となっている事件を解き進めていく形式には、思わず納得してしまいました。
最初は「本末転倒感が否めない...?」とも感じましたが、下記の理由から払拭されました。
ミステリにおいて、探偵役が犯人を特定しその手段を暴いてしまえば、事件は幕を閉じ、然るべき捜査当局によってお縄に掛かってしまうのが常識的と云えるでしょう。どんなに犯人が魅力的でも、探偵役が謎解きを完了してしまえば暫くはムショ暮らし。再登場を短いスパンで組むのも困難です。
しかし教唆犯が実行犯の手段を理解しようとする形式で描かれていることにより、主人公の犯人としての魅力を描きつつ、追うべき謎へと徐々に迫る構成は目から鱗でした。
ライトノベル的なキャラの配置と設定で、読者層の多くを取り込み、やや純文学的な作品背景と、色彩学と云う独特の学問を組み込んだファンタジーを盛り込み、コンセプトはミステリに恥じない構造に成功している手腕には惚れ込みました。
結末も奇をてらい過ぎず、むしろ、だからこそ『幻術』の方に意識ばかりを取られてしまい着地点まで気を向けられなかったことに対する「やられた」感の正体は、ひとえにまさしく筆者によるイリュージョンでしょう。
以上、EP.1を楽しく読めた感想でした。
続きが更新中のようで、そちらも楽しみです。
ところで光源の調整士は、もっと下衆い方向に『幻術』を使わないのかな...。下着の色で性格傾向を推察する阿保くん(阿呆ではない)の活躍に、そわそわしながら、そこはかとなく期待しています...!
嘘だと思うなら本書を見よ!
・本格ミステリーかと思いきや、色彩知識に基づく異能バトルに近い物語でした。異能者の能力による犯罪を、理屈で解き明かすミステリー。もちろん現実には実現不可能なトリックや術が出ますが、それが許される世界観は構築されてあると思います。言葉遊びもかなり多め。ルビが中二心をくすぐっていきます。
・異能者が人間離れした技を見せる、通常のファンタジーとは、やはり立ち位置が少し違うと感じました。
山田風太郎の忍法帖とかイメージすると近いかもしれません。山風が不死の忍者や軟体人間、吸盤人間といったびっくり人間に対し、自身の医学知識を駆使して彼らの異能に理屈づけをするのをご存知でしょうか? 現実にはありえないけど、変に理屈は通っていて、そこには不思議な説得力がある。
この作者様ももそうした説得力を武器にしていると思います。山風にとっての医学知識が、この作者様にとっては色彩学の知識なのでしょう。