悪夢が日常を侵していく

ある朝、主人公は妹に体を揺すられ起こされる。
どこかの学園ラブコメにでもありそうな始まり方。
しかしこれはそのような優しげな世界などではない。
何せ、妹はすでに死んでいるはずなのだから。
ならばこの妹に酷似した存在は何者なのか。
奇跡が起きて生き返ったのだろうか。
それに返す妹の言葉には、ゾクリとせずにはいられない。

悪夢に侵された日常はかつてのものに似ていて、しかしまるで違うものだ。すぐそこにありそうで、絶対に届くことはない。見えているからこそ余計に辛くなってしまう。
狂気は常に這いまわり、襲いかかる絶望の中に希望などない。
そばにあるのは悪夢だけだ。

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