おもおもしく始まる1話。
暗い話は苦手なので、読みすすめるか少し悩みました。
でも、ハルトさんはどうなるんだろう……?
好奇心に負け2話、3話……。
読み進めていくと、物語は少しずつ明るく。
マリンさんとのかみあわない会話。
ボクっ娘少女ミトさんとの夫婦漫才。
ワサビ醤油や、イルミナ鶏の串焼き、料理にたいするコダワリ。
味付けが塩かタレかで外交問題が勃発する宗教料理でもある――という、じゃぱねぜ料理目録の珍説。
中世でペスト流行の歯止め役として名を馳せたハーブが、異世界のイルミナという街で使われていたという設定も楽しく。
物語を通じ、ハルトさんが少しづつ癒されていくのがとても嬉しかったです。
……そして6話。
読むのをやめなくて本当に良かったと思います。
次はどんな魔法仕掛けの調理器具が出るのだろう。
どんな美味しそうなじゃぱねぜ料理が出るのだろう。
マリンさんが店に来たらどうなってしまうのだろう。
常連さん達の未練は何なのだろう。
ハーブにはまっている看板娘はどんな人なのだろう……。
これからどうなるのか。
気になる事はいくらでもあります。
7話から幕を開けるハルトさんの料理人生や、物語の広がりをとても楽しみにしています。
素敵な作品、ありがとうございます。
追伸:副題の設定ありがとうございました。
読み直したい物語を探すのが、とても楽になりました。
主人公は傷を持った料理人だ。トラウマから包丁を握れなくなってしまっている。そんな彼が意図せず訪れることになったのは別の世界だった。
何と言っても始まりはラクレットバーガー。
異世界に迷い込んだばかりの主人公が手にしていた料理だ。これは彼の傷に関係する品であるようだが、それは本編で語られるべき話なのでここでは触れない。
物語の始めに、このラクレットバーガーを巡って一悶着巻き起こる。その時にこれを食べられてしまうわけなのだが、これがいかにもおいしそうなのである。思わず涎が溢れてきて猛烈に食べたい欲が強まるが、読むだけでも微妙に腹が膨れた気がした。
そんなこんながあって、ようやく登場するのが本作品タイトルにもある「料亭みとり」だ。
アンデッドを専門にした料理店で、ここを営むのは仮面をつけて独特の雰囲気を持つ女性ミト。一体彼女が何者なのか分らないが、努力家であることは読むと理解できるだろう。
じゃぱねぜ、とこの世界で呼ばれているのは、恐らくは日本のことだ。彼女が努力家と言っても日本のことは情報が少ないようで、知らなかったり、間違った情報があったりする。
そのため熟語を言い間違えるのだが、これがいい具合に力を抜けさせてくれる。しかし一体何を読んでそういう読み方に辿り着いたのが疑問だ。
そんなミトという女性は人を惹きつける力がとても強い。魅力的な人間だ。登場した瞬間はどことなく胡散臭さを感じていた。何せ仮面なんてものをつけている。
だが、読み進めるうちに好きになっていった。なんとも生き生きとしていて、本当に楽しそうに動く姿は最高だ。一家に一人欲しい勢いである。
と、そうしたところで遂に料亭みとりに客がやって来る。
亡霊として長く暮らす客の注文は、古く、失われた料理。
それを主人公とミトの知識により探っていくのだ。
これがワクワク感を煽ってきて、さてどれくらいおいしい料理が出来上がるのかと、期待の眼差しで読み進めることが出来た。
心がとても温まる。
キャラクターたちはそこで生きていて、死んでいるのだと強く感じる物語だ。