月が墜ちた街で、男は幼き神と出会った。これは後悔から始まる御伽噺。
十年前、銀色に輝く月が空を明けない夜で覆い隠した。
狂える月神。その災いを祓うべく、百人の英雄が二度と帰れぬ戦いに赴いた。
多くの犠牲の果てに、一人の男の手で銀の月は墜とされた。
見事に神を討ち果たした男は、しかしあらゆる名誉から背を向けた。
「俺は、英雄などではない」
月の神に滅ぼされた街で、後悔を背負った男は孤独に戦い続ける。
空を穿つ虹。無垢を体現する、少女の姿をした神格。
幼き神と孤独な男。月の墜ちた街で二人が出会った時、物語は動き出す。
ーーーこれは、《断片世界(フラグメント)》と呼ばれる遠い世界の出来事。
人と神が織り成す、愚かで純粋な御伽噺。