概要
光文17年4月、太平洋を隔てた大国ヴィンランド合衆国との大戦の最中にある帝政葦原中津国。未成年の女性を除きヒトが生まれつき海に出られない世界で、海で戦う使命を帯びた少女達は海軍乙女と呼ばれていた。男なのに海でも平気な洋平は「異世界未来人」であると認められ、連合艦隊司令長官・山本五十子の特務参謀として葦原海軍の一員になる。
いつも元気いっぱいで甘い物が大好きな五十子、気難しい大艦巨砲主義者の参謀長・宇垣束、昼夜逆転ひきこもりの先任参謀・黒島亀子、女の子同士の禁断の関係に目が無い戦務参謀・渡辺寿子など、個性の強
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!すごく面白かった。
初めて読んだ架空戦記物になります。
こと日本では戦争を扱った物語に対し、それが架空世界の戦争物であったとしても「敗戦の歴史のルサンチマンが結実したものだ」のような言説を見聞きすることがあります。
なるほど、その言葉には一定の説得力があるようにも思えますが、大抵のフィクションというのは「⚪︎⚪︎でないことのルサンチマンが結実したものだ」みたいなことは言えてしまうので、何か言っているようで何も言ってない空疎な言葉なようにも思います。
さて本作はメニエール症候群という架空の病のため、関係者全員が若い乙女で構成された日本海軍のところに、戦争シミュレーションゲームが好きな現代の学生が異世…続きを読む - ★★★ Excellent!!!乙女の“生き様”が波に揺蕩う
正直に言ってしまうと、キャラクターの自己主張が強いと感じてしまう小説を読むことはまずありません。
しかしながら、当該作は気が付けば一気に読み終えておりました。
それは、上に挙げた部分を一蹴してしまうほどに強い群像劇としての側面と戦記としての側面――――そして、それらを活かす躍動感が物語の中にあるからだと思います。
多数登場する海軍乙女たち個々の個性を、ただ語尾が特徴的だとかそんなレベルで終わらせず、“生き様”とも言える領域へ昇華している文章にただただ引き込まれていくこと必至です。
これに加え、観測者たる主人公も絶妙に読んでいる側の気持ちをくすぐってくれる。
最高のエンターテインメント小説…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天国の英霊達も苦笑してる・・・はず
以前から気になって暇な時に読もうと思ったら一気にラストまでよんでしまったよ(現在朝の4時)
歴史(特に戦争史)としての観点から観ても偉人女体化物としてもこの作品は当時の軍部の慢心や「英雄」に祭り上げられながらも足掻いた「一人の人間」の想いやその周りを取り巻く「人間達」の思いを見事に美事に書き上げた素晴らしい作品だと思います。
「歴史物に萌えは如何なものか」とか思っている軍上層部的な、もとい、漬物石な頭の方も「どーせハーレムな萌えだろ」とおっしゃる自分と同じブーさん方も一度「ココナッツぜんざい」が出るところまでで良いので読んでみてください。
きっと歴史が面白くなりますから・・・ - ★★★ Excellent!!!Q:戦が先か、乙女が先か。A:戦である。
『待ったなしの艦隊戦に身を投じる海軍乙女達の生き様を見よ!』
本作書籍版を購入するかしないか現時点で確定していない未来の読者諸兄に本作をどう紹介するべきか一頻り思案した結果として出てきた文言である。
本作を語る上では『乙女が先か戦が先か』と言う部分がキモであり『見目麗しい女の子達がわちゃわちゃしていて、ついでに戦争を舞台にした』のでは決してない。
骨子はあくまでWWⅡをモチーフとした骨太な艦隊戦記物であり、彼女達はそれらを華々しく彩る役所を担っている。
戦場で散り逝く命が在る事についても描写を避けたりはしていない。
あくまで戦が基礎であり乙女が基礎ではないのである。
無論エンターテイメ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!予断なく敷き詰められた、戦記に感服。
以前よりかねがねtwitter上で目に留まっていたので、いずれこれは見るべきだろうと思い、やっとこさ追いかける機会を持てました。
……いやあ、しょうじき架空という言葉を当て嵌めたくない、この重層なドラマに、読んで本当によかったという読了後の満足感。
途中涙腺緩みました、ひさびさに。
どこまでも熱く生きる軍人(乙女)たちの織り成すそれに、本当によく頑張ってくれたよともう、それだけ。
史実上の人物らを、少女に置き換えるにあたっての作者の細かい気配り、こだわりにはもう愛――以上に強いものを覚えます。
海軍乙女たちの気概、……確かに伝わってきました!