概要
宗方由紀は常識の中に生きる人間だ。
学校に通い、数は少ないが友人と声を交わし、家に帰り眠る。
変わったところといえば、絶望的に美意識センスがないことと、
人に避けられるような容姿に対して不満持つくらいだ。
否、学生であった。
突如として抉り取られた心臓。失われる命、削れていく意識。
死の淵へと落ちる由紀を救ったのは、一匹の魔狼であった。
『フェンリル』
『魔術師』
『黎明機関』
『鎧騎士』
『囁き語り掛けるモノ』
「お前の願いはなんだ? 言ってみろ、付き合ってやる」
これは彼女たちを綴る記録である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!終盤は素晴らしい。如何に序盤で読者を振るい落とさないかが鍵。
大方の良かった点は他の方が書いてくださっているので、とりわけ気になった点を書いていきます。
素人の見解なので的外れな部分もありますので、そこのところはご了承ください。
①明暗の区分けと展開の組み合わせ
この物語は明暗の二極で言えば、後者に分類されます。特に序章、主人公の生い立ちや現在の境遇に加え、それが最も強調されていた廊下での主人公と水無月の対比。同じ空間に有りながら異なる世界の住人であることの演出が非常に上手く描かれていて、好きな人は一気に引き込まれるに違いありません。
ただ気になったのは、その後のシロの登場シーンです。ここまで暗一辺倒だった世界にとって、彼女のコミカルさは異分子的存在…続きを読む - ★★★ Excellent!!!王道で爽快感のあるストーリーと、こだわりが感じられる魅力的なヒロイン
登場人物にしっかりと芯が通っていて、読んでいて気持ちがいい。
行動や言動、あるいは物事に対する姿勢・思考の方向性といった部分に一貫性があり、不安定さやもどかしさという物を感じなかった。
きっとこう考え動いてくれるはずだという期待と、それを裏切らない安心感、そしてその意志を完遂するという爽快感を感じさせてくれる。
それはそのままキャラクターの魅力にも当てはまり、強い意志を持ってハッピーエンドを目指す姿は、とても魅力的で惹かれるものである。
現代の非日常を舞台にした異能力・魔術が存在する作品だが、設定や世界観が複雑すぎるということはなく、気構えずに気楽に読めるという点で良いと感じた。
犬耳や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「撫でる」という動作一つに込められた愛
「好意」「欲望」「気紛れ」
この3つの要素が、人を動かす理由だと私は思う。
大抵の小説では、最後の「気紛れ」の部分が少ない。というか、行動にしっかりとした(その人物においての体裁の)理由が付いているし、大抵はその行動の本心を読み取る事が出来るようになっている。
ただ、だ。この小説には(私の中では)理由付けが曖昧で、理由を読み取る事が出来なかった箇所がある。
まあ、あえて付けていなかったのかも知れないが話を進めさせて頂く。
その箇所は、伏線としての後付け設定かも知れないし、自己暗示でもあったかも知れないし、はたまた本当にただの気紛れであったのかも知れない。
ここで注目すべき点は、その「気紛…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ド直球の王道伝奇ストーリーに潜ませたフェチズム
魔法や奇跡が秘匿された現代社会。高校生主人公。そして、ある種のボーイ・ミーツ・ガール。これはド直球の王道伝奇ライトノベルである。例えば「黎明機関第十七位(ブレイズ・ワン)」という言葉にそそられるなら、間違いない作品だ。
ストーリー自体は、極めて王道だ。「次にどうなるだろう」という不安よりも、「次はきっとこうなるはずだ」という期待感の方が勝り、そして話がその通りに進んでいく。これの良し悪しをどう捉えるかは人それぞれだが、この王道ストーリーを際立たせるのが、随所に仕込まれた作者のフェティッシュだ。
ヒロインはいわゆる犬耳キャラであり、すわケモノフェチか? と思いきや、とんでもない爆弾が仕込まれて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!食事を忘れるほど引き込まれた作品
他の方が書かれてる通り、読みやすく、一気に引き込まれてしまいました。
昼食を食べるのを忘れるほど夢中で読んでいました。
他の方が詳しく書かれてるので、自分の一番のお気に入りを紹介しますと、スカッとするオチですね。思わず吹き出してしまい、「ああ、そうきたかw」と言ってしまいました。
1つ自分のワガママを言うならば、もっともふもふ成分があってもよかったと思います。せっかくの「もふもふ」タグなのでもっとモフモフしてもよかったのではないでしょうか。
とにかく、とても素敵な作品でした。「彼女」達の後日談の様なものを読んでみたく思います。
ありがとうございました。