ド直球の王道伝奇ストーリーに潜ませたフェチズム

魔法や奇跡が秘匿された現代社会。高校生主人公。そして、ある種のボーイ・ミーツ・ガール。これはド直球の王道伝奇ライトノベルである。例えば「黎明機関第十七位(ブレイズ・ワン)」という言葉にそそられるなら、間違いない作品だ。
ストーリー自体は、極めて王道だ。「次にどうなるだろう」という不安よりも、「次はきっとこうなるはずだ」という期待感の方が勝り、そして話がその通りに進んでいく。これの良し悪しをどう捉えるかは人それぞれだが、この王道ストーリーを際立たせるのが、随所に仕込まれた作者のフェティッシュだ。
ヒロインはいわゆる犬耳キャラであり、すわケモノフェチか? と思いきや、とんでもない爆弾が仕込まれている。

実は僕はこのレビューの中で「1ヶ所」だけ嘘をついている。僕や作者の竹林さんと同じフェチを持つ人間なら、きっとこの嘘にすぐ気づけるはずだ。
そしてこの嘘は、作中でも取りざたされずに進行する。一体、自分の「気づき」は真実なのか、それとも勘違いなのか、もどかしい思いをしながら読み進めるのもオツなものだ。そして、ある登場人物の豹変で「おお、これは」と、思い、最後の種明かしでガッツポーズをする。是非探してみて欲しい。

わかっていて読むと、総てのキャラクターの言動に別の意味が生まれてきて、とても興味深い。

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