ラズル・ダズル

作者 亞野日奈乃

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★★★ Excellent!!!

カッコいい言葉遣い。ガンアクション。
SFでスチームパンクでハードボイルドなテイスト。
そう、こんな小説が読みたかったんだよ!
機械はどんどん人間に近づいてきているのに、人間は機械になり果ててる。機械と人間の境界線が曖昧になるこの世界でクズのシュティードとクソガキのナオンはどんな世界を見せてくれるのか。
とにかく、この感想みたいななんちゃってレビューを見ちゃった心の優しいそこのあなた。たまにはバーボンをロックでいかがっすか?

★★★ Excellent!!!

 好きなら結構。たぶんあなたはこれを読むべきである。

 この小説は、徹頭徹尾カッコいい。重要なのはそこだ。
 レビューをするにあたり、色々考えた。この小説の魅力をどう表現しようかと。小難しい理論をいろいろ並べたてて考えたが、結局どれも陳腐なもので、この結論に追いついた。
 とにかくカッコいいのだ。他に表現する言葉がない。

 とは言え、これだけだと流石に意味がわからないので具体的な補足をする。
 『サイバーパンクかくあるべし』という設定の中を、クライムノワールじみたクズのようなキャラクター達が、軽快なやり取りを交わしながら躍動する。それがこの『ラズル・ダズル』だ。
 クズの筆頭たるのは主人公のシュティードだが、彼は『探偵物語』の松田優作から連綿と受け継がれる、二枚目半のダンディズムを持っている。彼が喋っているだけで、この作品の魅力が成立するのだから、これはもう殊更にズルいとしか言いようがない。

 作者いわく、『ロックは二度死ぬ』と言う。
 正直なところ、読者は何度死んでも命が足りない。血反吐を吐きながらカッコ良さに酔いしれる。これはそういう作品だ。