好きなら結構。たぶんあなたはこれを読むべきである。
この小説は、徹頭徹尾カッコいい。重要なのはそこだ。
レビューをするにあたり、色々考えた。この小説の魅力をどう表現しようかと。小難しい理論をいろいろ並べたてて考えたが、結局どれも陳腐なもので、この結論に追いついた。
とにかくカッコいいのだ。他に表現する言葉がない。
とは言え、これだけだと流石に意味がわからないので具体的な補足をする。
『サイバーパンクかくあるべし』という設定の中を、クライムノワールじみたクズのようなキャラクター達が、軽快なやり取りを交わしながら躍動する。それがこの『ラズル・ダズル』だ。
クズの筆頭たるのは主人公のシュティードだが、彼は『探偵物語』の松田優作から連綿と受け継がれる、二枚目半のダンディズムを持っている。彼が喋っているだけで、この作品の魅力が成立するのだから、これはもう殊更にズルいとしか言いようがない。
作者いわく、『ロックは二度死ぬ』と言う。
正直なところ、読者は何度死んでも命が足りない。血反吐を吐きながらカッコ良さに酔いしれる。これはそういう作品だ。