第44話 アリシアとお風呂①
────修学旅行二日目。
今日は昨日とは違い、先に修学を行い次に自由行動の時間となった。
今日の自由行動は昨日のどちらかと言えば雰囲気を楽しむことが重視と言えそうだった街とは違い、とても商業が盛んな場所で、屋台やお店が至る所に売ってあるような場所だった。
そして────修学の間ずっと我慢していたのか、自由行動の時間になると、アリシアは早速俺と腕を絡めて移動し、お店で食べ物を購入すると……
「アレクティス様、お口をお開けになられてください!」
片腕を俺の腕と絡めながら、もう片腕で購入した食べ物を手に持ってそんなことを言ってきた。
「わかった」
アリシアの恋人として、それを断る理由は無いため俺が口を開けると、アリシアは嬉しそうにその食べ物を俺の口の中に入れる。
「美味しいですか?」
「あぁ、やっぱり海外の食べ物は、普段食べている食べ物と味の癖が違うが、それはそれで美味しい」
「ふふっ、アレクティス様が気に入られたのでしたら何よりです……私も、アレクティス様に食べさせていただきたく思います」
「もちろんだ、ほら、口を開けてくれ」
「はい!」
そう元気に返事をしたアリシアは、俺の言った通りに口を開けた。
そして、俺はその食べ物をアリシアの口の中に入れる。
すると、アリシアはとても笑顔で「美味しいです!」と言った。
……今まで、そのアリシアの笑顔を見ると、そんなアリシアのことを俺は愛したくても愛することはできないんだということが俺の脳裏に過ぎったが────
「ア、アレクティス様!?」
俺は、アリシアのことを抱きしめる。
……今は、アリシアのことを、恋人として愛を持って抱きしめることができる。
「このような街中で……」
「嫌だったか?」
「いえ!そうではありません!」
俺の聞いたことに対して強く否定すると、アリシアは俺のことを優しく抱きしめてきて言った。
「私は、アレクティス様がそれほどまでに私のことを愛してくださっていることが、とても嬉しいのです」
「前世から考えると、ここに至るまでに本当に時間をかけ過ぎてしまったな……許してくれとは言わないが、本当に悪い」
「その分、今後私のことを愛してくだされば私は満足です……私も、アレクティス様のことを今後も愛し続けます」
「アリシア……」
その後、俺たちは街中であることも厭わずに抱きしめ合った。
……今までも学校の中庭でご飯を食べさせ合ったりはしていたが、こんなにも他の生徒たちがたくさん居る場所で腕を絡めながらご飯を食べさせ合ったり、抱きしめ合ったりしていれば、まず間違いなく俺たちが恋人関係になったのだとクラスメイトたちに確信されるだろう。
……学校に帰って、体育の授業でドッジボールがあったらまた狙われてしまいそうだな。
そんなことを思いながらも、俺はそんな平和なことを考えていられる世界にアリシアと愛し合えることにとても感謝を覚えた。
そして────時は過ぎ。
二泊三日の修学旅行が終わりを告げると、俺とアリシアはそのまま二人で俺の家の前までやって来ていた。
「アレクティス様が普段生活なされているお家に、入ることができるのですね」
「あぁ」
恋人関係になった以上、もはやアリシアのことを家に上げない理由も無くなったため、俺は早速アリシアのことを家に上げた。
そして、本来であればこのままリビングや俺の部屋などに移動してゆったりと過ごすところだろうが────
「では、アレクティス様……これより、私と二人でお風呂に入りましょう」
「そうしよう」
俺たちは、修学旅行時に話し合った通りに、修学旅行が終わると早速一緒にお風呂に入ることにした。
肌を見せ合うというのは、恥ずかしさもあったが────今まで触れ合えなかった分、もっと互いと触れ合いたい。
それが、今の俺とアリシアの共通意識であり、それを表すように俺たちは二人で一緒にお風呂に入った。
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