第43話 アリシアと添い寝
────自由行動の時間が終わり、現地の歴史や英語に関することを修学旅行という名前の通り修学し終えてからホテルへと向かう道中。
アリシアは、修学が終わったと思ったらすぐに俺と腕を絡めてきた……それも、かなり強くその俺の腕を自らの体の方に寄せている。
「ア……アリシア?」
「何でしょうか?アレクティス様」
アリシアは、とても満たされた表情でそう聞き返してくる。
俺は、そんなアリシアとは反対に少し動揺しながら言った。
「恋人になったから腕を絡めて歩くというのはわかるんだが……その……胸が当たってるんだ」
こんなことを言うと、制服越しなのに気にしすぎだと思われてしまうかもしれないが、アリシアの胸は制服があることなんて忘れてしまいそうなほどに大きい。
そのため、俺が声を小さくしながらもそう伝えると、アリシアが首を傾げて疑問を抱いたような声色で言った。
「それが何か問題なのですか?」
「も、問題に決まってるだろ!?」
「ですが、私たちはもう恋人同士なのですよ?恋人同士でしたら、身を触れ合うというのは、自然な行為だと思います!」
「そ、それは、そうだが……」
「ふふ、そういったことに初心なアレクティス様も、とても愛らしいです……そういった部分での愛情表現も、これから二人でたくさん育んでいきましょうね!」
「あ……あぁ」
そのアリシアの発言や今までとの違いにどこか恥ずかしさを覚えながらも、こうして今アリシアと腕を絡めて歩いていることや、何よりも────アリシアのことを堂々と愛することのできる恋人になれたことが、俺はとても嬉しかった。
そして、俺たち二人は腕を絡めたままホテルまで帰宅すると、俺たちの部屋へと入った。
「……そうか、俺たちは二人部屋だったな」
「はい!先生のことを説得し、他のクラスメイトたちにも上手く説明していただくよう伝えました!」
元気良くそう言った直後────アリシアは、俺のことを抱きしめてきた。
「ア、アリシア!?」
「突然で申し訳ございません、ですが、私はずっとこうしたくて堪らなかったのです……」
アリシアは俺の温もりを感じたいと言うように俺の体を強く抱きしめてきた。
「……仮にも修学旅行中だからできるだけ抑えようと思っていたが、アリシアにそんなことを言われた上に二人きりの状況となると、俺も我慢できそうにない」
そう言うと、俺もアリシアのことを抱きしめ返す。
「あぁ、アレクティス様……」
「アリシア……」
それからしばらくの間二人で抱きしめ合うと、互いに体を離す。
すると、アリシアが明るい声で言った。
「アレクティス様!この後でご飯を食べ終えた後は、共にお風呂に入りませんか?」
「お、お風呂!?」
「はい!互いの体に触れ合うことのできる、とても良い機会だと思うのです!」
アリシアと、お風呂……少し恥ずかしさはあるものの、アリシアのことが好きな俺の正直なところを言うのであれば俺だって一緒に入りたい……が。
「今は仮にも修学旅行中だからダメだ」
「っ!そのようなこと、どうとでも────」
「だが……修学旅行が終わったら、その日の夜に一緒に入ろう」
「っ……!」
俺がそう伝えると、アリシアは頬を赤く染め、頷いて言った。
「アレクティス様が、そこまで積極的にそう仰ってくださるのであれば……そう、致しましょう」
「ありがとう、アリシア」
その後、俺たちはホテルで夜ご飯を食べると、それぞれお風呂に入り────互いにお風呂から上がると、俺たちは二つのシングルベッドの前に立つ。
「ベッドは二つありますが……使用するベッドは、一つで構いませんよね」
「……そうだな」
そう会話をすると、俺とアリシアは同じベッドに上がって二人で横になった。
そして、アリシアは俺のことを抱きしめてくる。
「アレクティス様の恋人として、アレクティス様のことを抱きしめたまま眠りにつくことができるなど……私は本当に幸せです」
「俺も幸せだ、アリシア」
前アリシアとホテルに泊まった時も同じベッドの上で眠ったことはあって、あの時も色々とアリシアと体を密着させたことによって緊張感や恥ずかしさを感じることはあったが、今感じているのはあの時と大きく違う。
今感じているのは────愛情だ。
修学旅行に来る前は、まさかアリシアとこんなことになるなんて想像もしていなかったな……だが、こうなって良かったと、俺は心の底から言うことができる。
こうして、俺とアリシアは初めて恋人同士として、一つのベッドの上で体を密着させ合いながら眠りへと落ちた。
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