第18話 条件!?

少し長くなったけど、固有スキル『摩天楼マテンロウ』の説明を終えた。


「魔核とアイテムを交換出来る〈摩天楼ショップ〉、素材から物を造りだせる施設。その施設は拡張に連れて増やしていける。とんでもない能力ね。その能力で造った物をうちに卸していると言うことね。納得したわ。」


「素材を提供すると色々と造れるので助かっています。私達の装備品は一式ここで揃えています。新しい服も朱音の糸で造った新作も完成しましたしね。」


「朱音さんの糸で造った服!? 見たい!!」


「私も見たいです!」


二人は朱音と仲良くなったもんな。摩天楼から3着の服を取り出してテーブルへ置く。俺は自分用の服に手を置いて


《装着》


「服に触れて《装着》で自動で着用出来ます。そして」


《武装》


「着用した状態で《武装》で、登録している装備を自動で装着出来るようになります。」


二人も興奮して、《装着》と《武装》で戦闘体勢になった。


「龍人! 何だよこれ! 目茶苦茶格好いいじゃないかよ!」


「クランの制服にと考えています。《温度調整》《自動洗浄》《物理耐性》《魔法耐性》が完備しています。〈鍛治工房〉〈服飾工房〉〈錬金工房〉の合作です。これも朱音の糸があってこそですけどね。」


糸生成に関しては、朱音の方が何枚も上手だ。


「なぁ! それはまだ作れるのか!?」


「朱音次第ですね。朱音は二人と仲が良いですから、二人にと糸をくれたんです。頼めば貰えますけど、流石に売りに出すのは難しいですね。今のところ売りに出すとしたら、数段質は落ちますがシルクスパイダーとキラースパイダーの糸製の服が限界ですね。」


「さっきから出てくる朱音とは誰の事だ?」


「朱音さんは龍人くんの従魔です。」


「黒い悪魔って言った方がわかるんじゃない?」


黒い悪魔の名前が出た瞬間に場が騒然とした。どうやら朱音は誰もが知る有名な魔物だったみたいだ。


「おい! 今の話しは本当か! 黒い悪魔を従魔にしたって、それは大問題だぞ!?」


「蟲毒の森で襲って来たんで従魔にしたんですが、大問題ってどういう事ですか?」


「黒い悪魔はSランク冒険者パーティーからも逃げ切る危険な魔物何だぞ。それを従魔にしたって騒ぎにならない方が可笑しいだろ!」


「あぁ~朱音を倒すなら罠に嵌めないと難しいからな。朱音の行動を逃げに徹せられたら負けですよ。逃げられないように罠に嵌めないとね。それと、俺の従魔が黒い悪魔だとバレる心配は無いですよ。何が原因かわからないのですが、朱音は『人化』出来るようになったみたいです。」


従魔にした段階では『人化』は無かったんだけどな? 気づいたら人化してたんだよ。


「えぇ~朱音さん、人になったの!? 聞いて無いよ!」


「服の件も御礼したいので逢いたいです!」


そう言えば二人も知らなかったな。


「ごめん。今はクランハウスの警護に回って貰っているから今度紹介するよ。なので人前では人の姿で居て貰う予定なのでバレる事は無いと思いますよ?」


「黒い悪魔の件はどうしようも無いから置いとくとして、雫が龍人くんのクランハウスで生活する件は条件付きで許可を出しましょう。」


「なぁ!? 優香、一体何を言っているんだ!? そんなの許可を出せる訳が無いだろ!」


「お父さんは少し黙ってて! それで条件は何なの!」


え~と、俺を置いて話しを進め無いで下さい。凍也さんも俺を睨ま無いで止めて下さいよ!


「一つ目は、うちから数名を龍人くんのクランに専属で派遣すること。二つ目は、うちの経営するメイド育成学校から数名ほどクランで雇うこと。三つ目は、成人まで雫に手を出さない事が条件です。」


「三つ目の条件は厳し過ぎだと思うわ!」


いや・・三つ目は全くもって厳しく無い。寧ろ当たり前の事だと思う。


「一つ目の派遣についてですが詳しく聞いて良いですか?」


「勿論よ。うちの商会から龍人くんのクランに数名を常駐させるわ。だから龍人くんがわざわざうちに売りに来る必要が無くなるわ。その代わり、購入する品はうちで選ばせて欲しいわ。」


成る程、クランハウス内で売れるのは都合が良い。それに摩天楼ショップの商品も更新されて、全く把握出来て無かったんだよな。


「その件についてこちらもお願いがあるのですが良いですか?」


「何かしら?」


「摩天楼ショップなのですが商品が更新されてアイテムの数が多く、把握出来ていないのが現状です。そして、私には何が売れて何が売れないのかわからないんです。なので、アイテムの有用性の確認もお願い出来ないでしょうか?」


「そんなに交換出来る商品があるのですか?」


「摩天楼の拡張と共に更新されるので増える一方です。少し待って下さい。」


摩天楼ショップを起動して、優香さんにさらっと確認して貰う。


「これは困りましたわね。まさかこれ程の商品が取り扱えるとは思っても見ませんでした。それに加え、各施設の有用性を考えると認識を改める必要がありますね。まさか、これ程の隠し玉を用意されるとは思いませんでした。特別に三つ目の条件を破棄します。それとアイテムの調査も引き受けましょう。朱莉さん、後でクランの方に魔核の回収依頼を出しますので協力お願い致しますわ。それと色々と探索に有用そうなアイテムが有りそうなので調査にも協力をお願いしたいですわね。」


「アイテムの調査は無償でお受け致します。その代わり、優先的にアイテムを購入させて頂きたいですわね。」


「それはもう、お安く提供させて頂きますわ。」


提案は通ったけど、三つ目の条件が破棄されてしまった。そのままで問題は無いと言ったのだけど聞き入れられる事は無かった。

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