第41話 天狐〈穂花〉

〈ーー宝生椿-Side〉


蒼炎を纏った銀扇が空中を縦横無尽に舞う。フロアを徘徊していたコボルトは銀扇に斬られ倒れていく。


1階の出入口に続く道には魔物が押し寄せていた。外に出ようと集まった客を襲うつもりらしい。


私と円さん、それと新しく龍人くんの従魔となった穂花さんとでコボルトの集団を殲滅していた。


成長する武器グロウス・コアバングル】を展開してガントレットを装備する。


【闘気】


雫と一緒に試行錯誤してようやくこのスキルの使い方がわかってきた。


ダンッ!


地面を強く踏んで推進力へと変える。闘気を纏った拳でコボルトを殴る。


ガン!!


ガントレットの威力ものって、コボルトにも十分に通じる。速度を徐々に上げてコボルトを仕留める。


ボオオォォーーーー!!!!!


円さんの火魔法が後方にいたコボルトに直撃して、コボルト5体を焼き焦げにする。肉が焼ける臭いがフロアに広がる。


「火魔法以外の攻撃魔法も覚えないと屋内では使いずらいです。」


「状況が状況ですし、少し焦げるくらいは大目に見てもらいましょう。」


円さんは極力火魔法は使わず、身体強化で身体能力を上げ杖で対処を始めた。


「ガルルル!!!!」


「ハハッ! これでお前らも終わりだ!!」


「ワーウルフかのう? ようやくまともな相手が来たのじゃ。」


「只のワーウルフじゃねぇよ! こいつはワーウルフの変異種だぜ。B+の魔物だ!」


いつの間にか現れたコボルトより二回りは大きい魔物が穂花さんと対峙していた。あの魔物は私達では倒せない。円さんに目線を送り出来る事を始める。悔しさは勿論ある。次回こそはもっと強くなって見返す。


「今いちじゃのう。お主らの影響下では満足に戦えぬだろうて。遊んでやろう。」


ワーウルフの攻撃を華麗にかわす。


ドン!


穂花がワーウルフに扇子を当てると、ワーウルフは放物線を描くように宙を舞い地面に叩きつけられる。


それは何度も何度も・・・ワーウルフは触れることすら出来ずにいた。


「今!」


男達がよそ見している間に回り込み襲いかかる。


「クソッ! 餓鬼ども! 離しやがれ!!」


「うるさいですね。拘束して、口を塞ぎましょう。これで魔物は呼べないですね? もし呼び出したらどうなるかわかってるよね? オジサン。」


コボルトの数も残り数体でしたし、これ以上増やせないと踏んだのですが当たりだったようです? どうやって呼び出しているかはわかりませんが、ワーウルフを呼んだことが関係しているのかもしれません。

切り札だったワーウルフがあのような状態なら私達から目を離すのはしょうがないのでしょうがそれが運のつきですね。


テロリストは拘束、魔物の増える形跡なし、周囲の警戒をしておきましょう。



◆◇◆◇◆◇


理性が欠如しておるのう。これでは高ランクの魔物でも対処が容易である。


儂のエクストラスキル【神通力】には様々な能力がある。[超能力]と[六神通]と言われるものじゃな。扱いは少々難しいのじゃが、儂は長年の研鑽の末に自在に操る事が可能なのじゃ。


銀の扇を自在に操るのは[超能力]で軌道を変えれば容易である。


[六神通]の一つ〈天眼通てんがんつう〉により、未来を予知して攻撃を見切る。後は攻撃に合わせて銀扇をそえるだけで面白いようにワーウルフは宙を舞う。


「Guruaa!!」


ワーウルフの爪が儂を斬り裂くが、残念それは『幻炎』でうみだした幻です。


「Gyruaaa!!??」


幻炎はそのままワーウルフに乗り移り炎上し、ワーウルフの悲鳴がフロアに響いた。


「ワーウルフ変異種が・・・B+の魔物だぞ・・人間が倒せるような魔物じゃねぇんだよ! あの方に褒美で頂いた魔物なのに・・何で・・・」


「ククク、それはお主らが間違っているからじゃな。こやつらは自身の力では無く、他人の力で従わせているだけじゃ。本来の力が全く出せておらぬ。ただ暴れるのみ。このようなものに遅れを取るわけが無かろうて。これで仕舞いじゃ。」


バチバチバチバチ!!


主から貸し与えられたこの『黒雷』という能力は久遠殿のスキルでもあり、強力で扱いが非常に難しいのだが[六神通]の一つ〈漏尽通ろうじんつう〉の能力で操る。〈漏尽通〉で真理を悟り黒雷を顕現させる。


何が難しいって、威力を調整するのが難しいのじゃ。久遠殿は感覚的に発動させているものの、儂はそうも行かぬ。


成長する武器グロウス・コアバングル】による銀扇が黒い雷光でほとばしる。


銀扇による刃に黒雷を乗せて飛ばす。


[超能力]


「動かんといてくれぬか。動く相手に上手く当てる自信が無いからのう。」


「Garuuxu・・・」


ガガガゴン!!!!!!!!


黒い雷の刃が触れた瞬間、閃光を上げて凄まじい音と共にワーウルフの絶命する声が聞こえた。


残ったのは焦げて灰になったワーウルフの亡骸だった。


「ちぃーと、威力が高過ぎたかのう?」


「ば・化け物・・・」


ドスン! グラグラグラグラ・・・


「上は派手にやっているようだのう。」


「終わりだ。上に居るのは本物の化け物だ。俺達に勝ったところで皆殺しなのは変わらねぇよ!」


拘束された状態で強がる男達だが


「上に化け物が居るのは確かじゃろうて。ただ化け物がそちらがわだけに居るとも限らんじゃろ? 儂の主も上に居るが正真正銘の化け物じゃ。さて、結果は言うまでも無いのう。」


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[名前] 穂花

[種族] 天狐★

[ランク] A-

[ステータス]

L V 34

H P 17850/17850 

M P 32600/32600

STR 11330 

INT 22800

VIT 14200

MND 25450

[エクストラスキル]

『神通力』

[スキル]

『幻炎』『空歩』『豊穣の伊吹』『蒼炎』『人化』(NEW)

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