第40話 氷霊白鬼〈白雪〉

私は戦場螢、現在1階のフードコートエリアで白雪さんと魔物の討伐を行っています。


以前は可愛い感じの少女だった白雪さんだったが、今では誰もが魅とれる程の綺麗な女性へと姿を変えていた。どうやら進化して姿が変化したという。進化って凄いです。


上級騎士である私は盾と剣を持ち、蟲の魔物に対処していた。何故私と白雪さんの2名かと言うとそれは白雪さんの力にある。白雪さんのスキル『雪華』は蟲の魔物に対して有利である。現在フードコートは外でも無いのに雪が降り蟲の行動を阻害する。


スキル『氷属性強化』と合わさり絶大な効果を発揮している。不思議な事に私達は雪の影響を全く受けていなかった。後ろで隠れている人達も困惑していた。


白雪さんは氷の槍を操作して次々に動きの鈍くなった魔物達を倒していく。私も負けじと剣を振るい、盾を叩き付け魔物を倒していった。


「この化け物たちめ! 我々のペットをこんなに殺しやがって!! おい、お前ら切り札をだすぞ!」


「おい!? あれは危険過ぎる! 俺達ではアレは制御出来ないんだぞ!?」


「どちらにしろ、ここでアイツらを何とかしねぇと殺される。こんな時の為に与えられた力だろ! やるしかねぇんだよ!」


「そ、そうだな。俺達はもう後戻りは出来ねぇんだ。やるしかねぇ!!」


「そういうこった。いでよ! 〈貪る者グリード〉」


私達が次々に魔物を倒すのを隠れて観察していた男達が痺れを切らして出て来たと思ったら揉め出した。そして何やら話し合った後に1体の魔物を呼び出した。


「やれ! グリードよ! こいつらを喰らい尽くせ!? 〈ギシギシ〉 ガハッ!! 俺じゃねぇ、アイツらだ!?や、やめろ~~〈グシャグシャ〉」


「ちくしょう! こっちに来るんじゃねぇ・・・〈グシャグシャ〉」


ウプッ!


現れた魔物は真っ先に近くにいた男達を喰らった。逃げる暇も無くあっという間の出来事だった。余りの光景に吐き気をおぼえるもギリギリで耐えた。


「螢は下がってなさい。今の貴方では餌になるだけね。悔しいなら日々精進しなさい。」


白雪さんが前に出る。どうやら今の私にはどうする事も出来ない魔物のようだ。悔しい気持ちになるが白雪さんの言葉で次こそはと更なる精進を決めた。



◆◇◆◇◆◇


先程まで倒していた蟻の魔物のアントに似ているようですが上位種? 違いますね・・変異種か何かでしょうか? 二足歩行の蟻の魔物。強さ的にはBランク相当でしょうか?


「ギシャ!」


ひょい


【氷魔槍】


ガン!!


「スピードは速いですが、攻撃は直線的で知力は低いようです。喰らう事しか考えていない。その甲殻は頑丈のようですが余りこの槍を受けない事をオススメ致します。」


自身の頑丈さに自信があるのか氷の槍を避けずに弾いている。そんな槍は効かないとばかりに。


「そろそろですね。」


バキン! ガタン!!


「ギャシャ!!??」


氷魔槍を弾いた箇所は傷一つ付ける事は出来なかったが雪華による侵食を急激に速めた。白雪は【成長する武器グロウス・コアバングル】の白い杖で凍った右腕を叩き砕いた。


「トドメと行きましょうか・・・?」


「ギシギシ♪」


凍った右腕を拾って美味しそうに食べる魔物。


「耐性の獲得ですか!?」


凍ったはずの身体が回復していた。それどころか雪華による凍傷の効果がみられない。関係しているのは先程の光景。凍った自身の右腕を食った事で耐性を獲得したと言うことだ。


「食べたものから能力を得るスキルを持っていると言うことですか。放置したら危険ですね。」


無条件で何でもという訳では無いでしょうが、これ以上は食べさせるのは良く無いですね。


【鬼術-〈獄氷〉】


パキパキパキ!!


「アイスロック! 『呪氷の枷』」


「ギシャッ!??」


「その氷は貴方が食べた氷とは異なるものよ。氷の耐性を獲得したようだけどこの氷は特別製で溶かすのは難しいわよ?」


『氷霊白鬼』へと進化して、体内で鬼力という物が生み出されるようになった。その鬼力が形になったのがスキル『鬼術-〈獄氷〉』である。


鬼力を含んだ氷を生み出し操る術である。技量次第で出来ることは増えますが、魔力と鬼力を同時に消費するので消耗が激しいのが欠点です。


グリードの手足を拘束して動きを封じる。勿論、口も拘束済みである。


「ギ、ギィ、ギィ・・・」


枷を壊そうと暴れるが、皹が入ってもより強固になって修復するので枷を壊せないでいた。


「こちらも忙しいので終わらせて貰います。」


【氷霊槍ハーデスベルン】


私の切り札でありとっておきの槍を顕現させる。見た目は黒い槍だが幾重にも魔法陣が込められている霊槍である。進化の際に習得したエクストラスキル『氷霊槍ハーデスベルン』である。


この氷の槍には様々な効果が付与されている。その一つが魂を刈り取り相手に即死効果を与える。魂を刈り取った槍は成長し強化させる。ただ、使用には条件があり体力と魔力、更に鬼力を半分を消費して発動するため使い所を誤れば危機に陥る。


気配察知によると、私の役目はこれで終わりそうですし、気兼ね無く発動する。


シッ!!


黒い槍がグリードを貫いて消える。グリードは一瞬にして身体が凍り崩れて塵となり消えた。【氷霊槍ハーデスベルン】がグリードの魂を刈り取り、また一つ成長したようだ。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

[名前] 白雪

[種族] 氷霊白鬼(稀少種)★

[ランク] B-

[ステータス]

L V 16

H P 8650/8650 

M P 13980/13980

STR 3805

INT 9280

VIT 3590

MND 8500

[エクストラスキル]

『氷霊槍ハーデスベルン』(NEW)

[スキル]

『氷魔槍』『雪華』『氷属性強化』『鬼術-〈獄氷〉』(NEW)『人化』

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


龍人の影響で従魔達がランク以上のステータスを獲得していた。それは2ランク程上の魔物と同程度であるのだから恐ろしい限りである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る