第11話 黒い悪魔 ②


俺が放った拳は黒い悪魔を地面に叩きつけた。その衝撃で地面が陥没し、地面に蜘蛛巣状の罅を作り上げた。


ゲシューー!!


起き上がった黒い悪魔は俺を囲うように蜘蛛の巣を散りばめる。下手に動けば絡まれてしまうな。


懐かしいな。昔、あいつとよくやった糸取りゲームを思い出すな。結局、あいつには一度も勝てなかったけど、私とゲームが成立出来るのはレオンだけだよって褒められたっけ。屈伏させるならこれが良いかもな。


蜘蛛巣と違い、周囲に張り巡らされた細い糸を掻い潜り黒い悪魔の攻撃を避ける。八本の脚から繰り出される鋭い攻撃。口から吐き出される猛毒に加え、翼から繰り出される風の刃・・・厄介極まり無い。


暫く黒い悪魔から逃げるように走り抜け準備を整える。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「へぇ~君が帝国最強の騎士何だ? 面白いねぇ、私と遊ばない?」


これがあいつとの出逢いだった。見た目は小柄で可愛らしい少女。そして実態は帝国最大の盗賊団〈阿修羅〉のボスでもあった。名をアリス・ミュゲイラと言った。そして、俺は帝国から盗賊団の壊滅の命を受けてやって来た騎士でもある。


「仲間は全員捕らえた。後はお前だけだぞ。アリス・ミュゲイラ。」


「仲間!? 私に仲間は居ないよ。奴等が勝手に私の名前を使っているだけでね。でも、まぁ良いや。君と遊べるなら何でもね。」


アリスは本当に厄介で面倒臭かった。搦め手、罠、技量の全てが今まで戦って来た中でダントツにトップだった。久し振りに本気で戦った。


「ウヘヘ。君、本当に強いや! 初めて負けたよ! また、今度遊ぼうね。」


「またって? 無理だろ。」


アリスは厳重に捕縛され、これから帝国で裁かれる。きっと、出ることは・・・


「じゃあね」


はぁ!? アリスを捕らえるの無理じゃね? 何であの状態から抜け出せるんだよ!


俺はアリスの捕縛を諦めた。陛下にも正直話したら笑われた。後に捕らえた盗賊から証言でアリス・ミュゲイラが悪事に一切関わって居ない事がわかり無罪となった。


それからと言うもの、事ある毎にやって来ては遊びと表して〈糸取りゲーム〉なるものをするようになった。


「今日も私の勝ち~♪」


くっ・・ 679戦0勝


「惜しかった。もう少しで巻き返せたのにな。今度は必ず1勝をもぎ取ってやる!」


「ライルには無理だよ? だって弱いもん!」


クソー! 絶対に吠えずらかかせてやる!


時は流れて、ようやくその時は訪れた。


5000戦1勝4999負


その頃にはアリス・ミュゲイラと言う名は世界中に広まっていた。盗王アリス・ミュゲイラとして。


「アリスも出世したな。まさか、勇者パーティーに入って、あの難攻不落のダンジョンを制覇するんだから凄いよ。」


「たまたまだよ。それに聞いてる?」


「何がだ?」


「魔神討伐隊に帝国最強の騎士であるレオンを召集する話しになってる。」


そんな話し聞いて無いぞ?


「そっか。まぁ、帝国の騎士も育って来たし、危険な場所へ赴くなら、俺のような中年が行く方が良い。俺は独り身だからな。」


「中年って、まだ20代でしょ?」


「20代の後半だからね。でもそれなら一から鍛え直しておくか。」


帝国の貴族から良く思われていない俺は危険な任務ばかり回されて来る事が多い。だが、魔物と戦うことは慣れていない。今回も貴族の策略だろうな。陛下に悪いけどそろそろ潮時なのかもな。


「でも良かったよ。行く前にアリスから1本取れたからね。」


「そうだね。特別に盗王技『千糸傀儡くぐつ』をレオンに教えてあげる。」


アリスのやつ、今まで手を抜いていやがった。それが悔しくて目茶苦茶頑張ってものにした。アリスが呆れていたが笑って


「レオンのその戦闘センスには驚かされるよ。実戦の方が覚えが早いんだから。」


魔神討伐の前に死ぬかと思ったよ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「そろそろ良いかな? 悪いけど、終わりにするぞ!」


盗王技『千糸傀儡くぐつ


黒い悪魔の糸の制御を奪い取る。攻撃を避けながら糸に細工して回っていたのだ。


糸が黒い悪魔に絡まれ動きを止める。


「流石のお前でも動け無いだろ? 糸って、細いけど編み方によって強靭な糸に成るんだよ。それが無数に拘束している。」


ギチギチ


「無理だよ。それにこんな風にお前を自在に操ることも出来る。」


ギギャア!!


脚を操り、自身に攻撃させる。


スキル『意志疎通』を発動する。


「俺の従魔に成らないか?」


ギチィ・・・


「それならしょうがないけどこのまま倒させて貰う」


スキル『雪幻魔華』


雪の華が降ってくる。瞬く間に周囲が凍てつく。


パキパキパキパキ


「それじゃ・・」


ギチギチ!!


「おっ、そうか。従魔になってくれるか。良かったよ、わかってくれて。それじゃ契約を結ぼうか。」


脅しが入ったけど、屈伏させ認めさせる事が出来た。その勢いで『従魔契約』を済ませる。名前は〈朱音〉とした。


【ーーデーモンタラテクトとの従魔契約に成功しました。】


【ーースキル『魔王鋼糸』『魔王粘糸』『魔王翼刃』『気配察知』『感覚共有』を習得しました。】


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[名前] 朱音

[種族] デーモンタラテクト

[ランク] C+

[ステータス]

L V 28

H P 1250/1250 

M P 2280/2280

STR 1580 

INT 1720

VIT 1160

MND 1466

[スキル]

『魔鋼糸』『粘着糸』『気配察知』『翼刃』

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[名前] 真甚 龍人

[年齢] 10歳

[職業] 黒骸の魔王

[称号] 『超越せし者』『魔王』『災王を討伐せし者』

[ステータス]

L V 48

H P 3880/3880 

M P 68880/68880

STR 2999 

INT 1720

VIT 2810

MND 1960

[固有スキル]

摩天楼マテンロウ

〈黒金〉〈白雪〉〈朱音〉

黒骸の鎧ムクロ

[エクストラスキル]

闘峯身氣とうほうしんき』『魔具羅駝まぐらだ』『千糸傀儡くぐつ

[スキル]

『従魔契約』『意志疎通』『魔物鑑定』『従魔回復』『従魔強化』『感覚共有』(NEW)

[特殊スキル]

『黒魔王鋼』『怪力魔王』『氷魔王槍』『雪幻魔華』『魔王鋼糸』(NEW)『魔王粘糸』(NEW)『魔王翼刃』(NEW)『気配察知』(NEW)

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