第9話 友達と探索


「二階堂さん、獅童さん、探索前に伝えたい事があるんだけど良い?」


「真甚くん、私の事は萌衣と呼んで下さい。」


「私は雫で良いよ。それで伝えたい事って?」


「わかりました。萌衣さん、雫さん。それで伝えたい事だけど、俺の従魔を紹介したいんだ。これから一緒に行動するなら必要だからね。」


迷宮では黒金と白雪を召喚しておきたい。


「へぇ~真甚くんの従魔か。気になる! もしかしなくても、あの時に助けた子達だよね?」


「あぁ! 色違いのゴブリンさん!」


どうやら覚えていたようだ。それでは!


黒金と白雪を召喚する。


「こっちが黒金でそっちが白雪だよ。そうだな、黒金は前衛でタンク、萌衣さんと雫さんは攻撃メイン。白雪は俺と後衛な。」


「・・・凄い! でも、あの時の子達とは違う?」


「・・・本当です!?」


二人には黒金と白雪が進化した事を伝えた。最初は驚いていたけど、直ぐに話かけて仲良くなっていた。言葉は通じて無いけどね。


ーー隊列を組んで蟲壺の森に入る。入ってそうそう蟻の魔物が複数現れた。体長1m程もあり、脅威度は低いものの数で来られればベテランの冒険者でも命を落とす。


「黒金は動きを止めろ! スキルの練習に丁度良い。動きを止めたら雫さんと獅童さんで攻撃。白雪は他の魔物を牽制してくれ。」


黒金には、鉄製の大盾と大剣を持たせている。


ガチン!


黒金がスキル『黒魔鋼』を発動して、大盾でアントの動きを止める。スキルの効果なのか、身動きせずに受けきった。


「アント程度だと問題成さそだな。黒金はその調子でスキルになれること。今のうちに二人は攻撃。」


雫の剣がアントを斬り裂き、萌衣の槍がアントを貫く。何度かの攻撃でアントは倒れ消えていった。その繰り返しで周囲の魔物を駆逐する。ドロップはアントの甲殻と蜜だった。


「雫さん、剣の振りかたが良くないかな? 見ててこう。」


剣を振って見せる。


「え~と、こう?」


ちょっと違うな。


「後ろからちょっとごめんね。こういう風に振ると良いよ。訓練時も意識して振ると良いよ。」


「・・・ありがとう」


後ろから抱きつく形になってしまった。


「ごめん・・・」


「嬉しい・・ありがとう」


ジィーーーー


「良いな・・・」


「萌衣さんも槍の扱い方を」


結局同じように手解きして事なきを得た。それからもアントを狩り続け、二人も一撃で討伐出来るようになって来たので今日は終わりにする。黒金と白雪を還して学院へと戻る。


「二人とも今日の素材を使って良い?」


「何に使うの?」


「アントの甲殻で黒金と萌衣さんの盾を造ろうかなって?」


鍛治屋に大量のアント素材を預けていたら、製作リストに造れる物が追加されていたのだ。


「何処にお願いするのですか?」


「お願いすると言うか・・・」


俺は二人に固有スキル『摩天楼マテンロウ』について説明した。


「他にどのような事が出来るの?」


「魔核で摩天楼ショップで買い物が出来て、素材があれば食事や服、武器防具を造ってくれるみたいなんだ。」


何だろう。二人がぶつぶつと呟きながら、何やら考え事にふけっている。


翌日、昨日に引き続き探索を開始する。


「黒金は今日からこの大盾を使え。使い方は俺が教える。萌衣さんにはこの小盾を使って貰う。同様に使い方は俺が教えるよ。」


黒金には〈蟻甲の大盾〉、萌衣には〈蟻甲の小盾〉を渡す。性能はこんな感じ


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

[名 称] 蟻甲の大盾

[ランク] F+

[性 能] 物理防御 50

     魔法防御 10

[効 果] 『酸耐性』

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

[名 称] 蟻甲の大盾

[ランク] F+

[性 能] 物理防御 30

     魔法防御  5

[効 果] 『酸耐性』

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


中々に格好いい盾だな。とにかくデザインが良い。黒金は大盾を軽々持ち上げ、萌衣も問題無く盾を構えていた。鉄製と違って重さが軽減されるのが有難い。ただ黒金は重い方が良いかも知れないな。後で鍛治師に相談してみよう。


森へ入りアントが出て来た所で盾のレクチャーを始める。黒金と同じ大盾を取り出し構える。懐かしいなこの感じ。前世でも同じように新人の騎士達に教えたっけな。


「まず大盾と小盾では使い方が違う。大盾は・・・」


アントを相手に大盾の使い方を教える。理論を踏まえ、何度かやって見せる。


「黒金はそいつで練習しておいてくれ。次に萌衣さんの小盾の使い方だけど・・・」


同様に使い方を教える。


1時間程練習してから奥へ進む。アントが集団で襲って来てもそれぞれ対応出来るようになっていた。


「良い感じだね。それじゃ黒金と雫さん、白雪と萌衣さんで連携しよう。白雪もスキルを使って良いよ。」


戦闘をこなすうちに全員の動きが良くなってきた。その結果、アントの素材が大量に手に入り皆のレベルも順調に上がっている。


「新しい魔物だな? え~と・・・」


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

[種 族] シルクスパイダー

[ランク] F

[ステータス]

L V 5

H P 15/15 

M P 20/20 

STR 22 

INT 31

VIT 18

MND 24

[スキル]

『魔糸生成』

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


強く無いけど数がヤバいな。


「白雪、あそこに『雪華』を降らせてくれ。」


雪華は一定範囲内に雪の華を降らせる能力で雪の華に触れると・・・


パキパキパキ


凍る。対象を選択出来る為、仮に俺達が触れても普通の雪と変わらない。


「どうやら蟲系の魔物は従来通り寒さに弱いようだ。このダンジョンだと白雪は無双状態だな。」


蜘蛛達は次々にドロップの魔糸を残し消えていった。白雪のお陰で魔糸が大量に手に入ったし今日は帰ることにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る