第27話 魔改造再び
〈ーー獅童萌衣-Side〉
龍人くんの攻撃をスキル『聖なる盾』でしのぎ続けている。龍人くんの早くて、鋭い攻撃を防ぐには集中力を高めて冷静に対処する必要があります。
以前であれば防ぐことが不可能な攻撃を防げているのには嬉しくはありますが、それは私の努力よりも龍人くんのお陰であることが大きい。
龍人くんの気力と魔力が私の身体に入って来た時に私達の身体は間違い無く変化した。それは悪い方向では無く良い方向へです。その事に龍人くんは頭を抱えていましたが見なかったことにします。
私の職業はS級の『聖騎士』です。今のところはスキル『聖なる盾』と『パリィ』しかありませんが、龍人くんが言うには騎士にとって重要なスキルだから使いこなせるようにとの事でした。
私は魔力による身体強化が得意なので、今は気力の方は肉体強化だけに集中した方が良いとアドバイスを貰った。頻繁にクランの皆と情報交換するけど、職業によって得意不得意が分かれる傾向にあるみたいです。
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[名前] 獅童 萌衣
[年齢] 10歳
[職業] 聖騎士
[ステータス]
L V 10
H P 410/410
M P 520/520
STR 289
INT 390
VIT 511
MND 288
[スキル]
『聖なる盾』『パリィ』
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◆◇◆◇◆◇
今日は萌衣の訓練に付き合っていた。木剣を振るって萌衣に盾で防いでもらう。萌衣がギリギリついてこれる速さで攻撃をしかける。
疲労がたまればたまる程に無駄な動きが少なくなってきている。良い傾向だな。
萌衣の限界が近づいたタイミングで雇い初めたメイドがお客さんの来訪を知らせてくれた。
来訪者は蓮司さんと朱莉さんだった。二人は既に訓練場で俺達の訓練を見学していた。今日も訓練場にはクランメンバーが勢揃いしていた。
そうそう正式に柳原さん、倉戸さん、三住さん、戦場さん、琴吹さんの5名はうちのクランへ加入していた。
既に寮からクランハウスへと居住を移す為に準備しているようだ。5名とも雫や萌衣ほどでは無いらしいけど良いところの出らしい。
「龍人!? これはどういうことだ!? 何をした??」
蓮司さんが何を言いたいのかは理解しているけど誤魔化してみる。
「何の事でしょう? 私は何も知りませんよ?」
「嘘つくんじゃねぇよ! こんな異常事態が龍人と関係無いわけねぇだろうがよ。」
「お父さん! 龍人くんのお陰で〈気力〉と〈魔力〉を扱えるようになりました。そのお陰で」
ビュン!!
萌衣が力強く剣を振るう。
「強くなりました!」
嬉しそうに両親に強くなったと伝える萌衣を眺めて良かったねと思っていると
ギロリ
「ほ~ん。数日前まで取っ掛かりすら掴めなかった筈なんだがな? 可笑しいよな? 龍人は何か知らねぇか?」
「ハハハァ・・・コツを掴んだのかも?」
「龍人くん? 隠す必要は無いのでは無いですか? 知られても真似できるものでは無いのですから?」
萌衣! 問題は其処では無いんだよ! あんな方法は誰も出来るとは思って無いよ!
「ほぉ~詳しい説明が聞きたいものだな。」
俺達は応接室に移動して彼女達を魔改造してわかった事を説明した。一応、確かでは無いとも伝えた。
「ようするに龍人くんの気力と魔力を萌衣に注いだと言うのね?」
「はい。初めは気力と魔力を感知できないから良い方法が無いかと聞かれたので、そう言えば前世で師匠にやってもらった事を思い出して試したんです。私の気力と魔力を流して、気力と魔力の存在を確認できればとね。」
「それで成功したと言うことなのね?」
「えぇ・・まぁ。成功したのは間違い無いのですが、予定外の事象もおきてしまいまして」
「予定外の事ですか?」
「私の気力を萌衣に注いだ事で萌衣さんの丹田と肉体が強化され、魔力を流した事で魔力袋と魔力経路が強化されてしまったんです。その結果、身体能力の向上に加え、魔力量の増大など色々と変化しちゃって・・先ほど訓練場で見たような感じになりました。」
正直に全てを話した。
「萌衣は問題は無いのね?」
「はい。色々と調べましたがデメリットは今のところありません。ただ、やらかしてしまったとは思っています。」
「それは俺達にもできんのか?」
「蓮司さんなら問題ないですよ?」
「私は駄目なの?」
「え~と、女性の方には試しずらいんです。まぁ、蓮司さんに試しましょう。蓮司さん、上着を全部脱いで下さい。」
「お、おう!?」
蓮司さんは指示通りに上着を脱いだ。良く鍛え抜かれた身体が露になる。
「気力と魔力を他人に注ぐのは凄く繊細な作業なんです。失敗すると最悪は死に至ります。なので直接肌に触れて注ぐ必要があります。まずは気力を流して行くので感じたら教えて下さい。」
暫く気力を流し続けると、蓮司さんは気力の存在を認識した。萌衣達と比べると随分と早かった。
「早かったですね? 次の工程は気力の扱い方です。気力を身体中に広げるので感覚を掴んで下さい。」
気力を注ぎ込み身体に気力を満たして、肉体を強化させる感覚を覚えてもらう。
「これが肉体強化の原理です。結構疲れますが、繰り返す事で肉体を強化し続けます。魔力を試す前に休憩します?」
流石の蓮司さんも初めての肉体強化に息遣いが荒くなってきていた。
「このまま進めてくれ!」
「了解です。魔力の根幹は右胸の位置に存在します。同じように魔力を感じたら教えて下さいね。」
やっぱり、萌衣達より早く認識した。
「魔力経路に魔力を流しますので、流れる感覚を覚えて下さい。」
暫くすると、興奮したように蓮司さんが話し始めた。
「龍人が気力と魔力を扱えるようになれと言った意味が良くわかる。龍人が説明した通りの強化が実感できた。萌衣が言った通り、こんな芸当が出来るのは龍人だけだ。この方法を試すのは身内だけにしておいた方が良い。」
「蓮司、其処までなのですか?」
「戦力で言うと10倍は強くなってるな。朱莉も試せばわかる。なぁ、龍人。報酬として10億やるからサブマスター二人と息子も同様に頼む。」
10億!?
「お金はいらないですよ。それと朱莉さんは難しいですよ。」
「ここまで強くなれるなら10億何て端金だ。受けとれ。はは~ん。直接肌に触れるから朱莉は無理って、ププッ、とんだ純情ボーイだな!」
「うっさいわ! しょうがないだろ。精神が身体に引っ張られて、もう精神はほとんど少年に染まっていて変な感じなんだから」
蓮司さんとじゃれていると
「そう言うことですか。てっきり私に問題があると思っていました。その程度の問題であれば」
朱莉さんはそう言うと上着を脱ぎ始め下着に手をかけたところで俺は正気に戻った。
「ストップ、ストップ! 下着はそのままで大丈夫です! 萌衣達も水着を着てやりましたので問題んしです!」
疲れた・・・
朱莉さんも蓮司さんよりは時間がかかったけど無事に終わった。
「これは公には出来ないですね。蓮司の言う通り、10億円用意するので3人はお願いしたいですね。」
追加で3人も魔改造をすることになってしまった。
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