第13話 クランハウス


「おはようございます。ご用件は何でしょうか?」


迷宮を攻略した翌日、学院をズル休みして冒険者ギルドへ来ていた。


「冒険者ギルドでクランハウス用の建物は購入出来ますか?」


「えっ!? クランハウスですか?」


「はい。」


流石に10歳でクランハウスを購入したいと言えば信じられないだろうな。だから


「予算はこれくらいなのですが」


冒険者証と銀行の口座を連結させているので、冒険者証には銀行の残高が明記されている。冒険者証は本人以外操作出来ないので、もし盗まれても大丈夫なのだ。


「!? 冒険者ギルドでも色々とご紹介出来ますが、要望などありましたらお願いします。」


「そうですね。広めの訓練場がある場所が良いですね。」


「わかりました。いくつか候補が有りますが実際に見てみますか?」


「お願いします。」


一件目は冒険者ギルドの近くにある建物だった。鉄筋コンクリートの3階建ての建物で1階が訓練場で2階が会議室のような部屋が幾つかあって、3階が寝泊まりする部屋が10部屋あった。これはちょっと立派過ぎる。それに予算がオーバーだった。何でもローンを組んでくれるとの事で予算がオーバーしても問題無いとの事だ。


二件目は学院の近くにある建物何だけど、ここは学院の建物から訓練場が見える位置だったので却下した。


最後は郊外にある木造建築の建物だった。旅館のような佇まいで、訓練場も屋内と屋外があり、どちらも広くて申し分無し。ついでに温泉も完備しているという。


「ここ良いですね。値段も前のに比べてお手頃ですね。ここにします。」


「街から離れていて郊外ですから安いんです。でも、大丈夫ですか? 街までとなると車が無いと厳しいですよ?」


ここなら黒金達を召喚しても問題無いな。良い物件が見つかって良かった。お金は前金で十分な額を支払い、後はローンを組んで返済する。迷宮に通えば余裕を持って返せるだろう。


俺は走って学院へと戻り退寮の手続きを済ませて荷物を持ってクランハウスへと戻って来た。掃除はされており、最低限の物は揃っていたので直ぐに住める状態だった。


旅館を模したクランハウスは和室が殆んどだが20部屋程あった。温泉は男女別で二つあり、トイレも男女別で5つあった。俺しか住まないので大分無駄になるけどしょうがない。元々は従魔と訓練するために買ったんだし気にしない。


それと摩天楼でも1週間が経ち拡張が終わっていた。次の拡張が終わるまで1ヶ月もかかる。


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★摩天楼システム 《従魔許容数 3/7》

・摩天楼拡張 《3/10》(UP!)

※〈摩天楼の主〉の魔力で摩天楼を拡張します。拡張に伴い《従魔許容数》、《施設設置数》が増えます。

・魔力濃度増大 《3/10》(UP!)

※〈摩天楼の主〉の魔力で摩天楼内の魔力濃度を増やす。魔力濃度が増す事で魔物の成長速度を速めます。

・摩天楼ショップ《4/10》(2UP!)

※摩天楼ショップで〈魔物の魔核〉で買い物が可能に成ります。

・施設設置 《5/5》 〈特殊住宅〉(UP!)〈大食堂〉(UP!)〈服飾工房〉(UP!)〈鍛冶工房〉(UP!)〈錬金工房〉(NEW)

※〈摩天楼の主〉の魔力で施設リストにある施設を設置します。

・従魔リスト 〈黒金クロガネ〉〈白雪シラユキ〉〈朱音アカネ

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大きな変化は幾つかある。まず〈摩天楼ショップ〉だが商品が増えた。中級ポーション各種から魔鉄、その他に各施設で使う備品なども購入出来るようになった。例えば錬金術で使う道具とかね。魔核は補給しているので好きに使うように言っている。


次に施設についてだが、施設が進化? 拡張されていた。原因はわかって居ないが摩天楼が拡張したお陰だと推測している。他にもあると思うが今のところハッキリしていない。


〈特殊住宅〉: 従魔に適した住宅を創り出す。


アパートみたいな住宅だったが、今は従魔一体一体が特殊な環境の家に住んでいる。黒金は岩の家、白雪は氷で出来た家、朱音は樹の上に巣を造っている。


それと拡張した事で摩天楼に河川が出来た。これが何を意味するのかわからないが、悪いことでは無いので気にしない事にする。


これから忙しくなるぞ!


翌日から自身の訓練を見直した。訓練場が出来たことで訓練の幅が広がった。日が出る前に起き、ランニングで身体を暖め念入りに柔軟を行う。それから各種筋トレを行い温泉に入って学院へ向かう。


朝から身体を動かせてスッキリするな。これだけでクランハウスを買ったかいがあった。


「雫さん、萌衣さん、おはよう。」


「おはよう、真甚くん。」


「おはようございます。真甚くん。それで昨日は休んでおられたようですが体調でも崩されたのですか?」


「・・・うん」


ズル休みしたとは言えない。


「ふ~ん。昨日うちの支店に商品を売りに来たと聞いたんだけどなぁ?」


ギクッ! クランハウスを買う為に売りに行ったのがばれてる!?


「ごめん。ズル休みした・・・」


「何故そのような事を?」


正直に話そう。そもそも二人には隠すつもりが無いからね。


「迷宮以外で従魔達と訓練したくてクランハウスを購入してた。冒険者ギルドで紹介して貰ったら良い物件があったから購入したんだ。昨日のうちに寮も退寮して引っ越しも済ませたんだ。」



ーー正直に全てを話した。

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